悪夢
ある永遠のしののめの片隅で
わたしはピアノを弾く夢をみた
つめたい部屋にはピアノと はだかのわたしと それと
ひとりのひかる天使が座っていた
その旋律はあまりにももろかったので
わたしはゆっくりと弾いた
壊さないように ただただ ゆっくりと
まちがえないでください
わたしが悪夢ではなく
うつくしい夢のはなしをするのは
いつもわたしが
悪夢ばかりをみているからではありません
わたしのすべてをくださいと言った
あなたのためなのです そうだ
わたしのぜんぶをあなたにあげよう
わたしが今夜みる一篇の悪夢さえ
ああ あなたにもみせよう
悪夢