下手くそな呼吸で

いつまで生きてんだろうな、
そう思いながら見上げた夜空は途方もなくて、
本当に途方もなくて、
後悔ばかりが込み上げてきて、
輪郭のない後悔まで込み上げてきて、
それは溜息のように刹那的で、自己完結的で、何より馬鹿らしくて、
本当に馬鹿らしくて、
惨めな追想の中を彷徨う私は
彷徨うふりをしている私は、
浅く短い呼吸を 嗚咽のように繰り返しているばかりだった
少し傷つけたかっただけなのに、あんなに傷つけてしまった
少し傷つきたかっただけなのに、こんなに傷ついてしまった
故意に抉った傷に、抉られた傷に、どれだけの価値があったか?
どれだけの覚悟があったか?責任があったか?
生きている限り傷は数え終わらない、生きている限り傷は殖え続けるのだから
故意でない傷も殖え続けるのだから、
いつまで生きてんだろうな、が、いつから生かされてんだろうなに変わる朝には、
手放しかけた朝にはきっと、きょうの日を、この乾き切った夜空を思い出すのだろう。

下手くそな呼吸で

下手くそな呼吸で

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-12-16

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