きみの記憶に残る消耗品になりたい
「気にしないよ。
きみがそれで楽になるのなら
いくらでも利用すればいいよ。
僕は止めないし、咎めもしないよ。
でも、それで楽にならないのなら
その時は悪いけど、止めにいくかもしれない。
強い言葉で、非難してしまうかもしれない。
きみがそれを素直に聞いてくれるとは思わない。
それどころか、僕の方がきみに咎められるだろう。
いまさら何を言ってるの、と。
あなたにわたしの何がわかるの、と。
ああ。確かにきみの言う通りいまさらだし、
僕はきみのことをちっともわかっていない。
わかることと知ることは、違うから。
わかりたいけど、知りたくなかった。これは僕の弱さで怠慢だ。正当化する気はないよ。
求めることと曝け出すことが出来なくなった人間は、皆孤独だ。
誰にも頼らずにひとりで抱え込んでたって、それはお互い様じゃないか。
頼らないんじゃなくて、頼れなかったんだよな。本当に誰かを頼ったことなんて、なかったから。
いつもどこか保険をかけているような、不純な期待しか出来なかったから。
それを知っているのは、僕たちしかいなかったから。
知っているのに知らないふりを決め込んでいたのも、僕たちらしかったな。
でも、いつまでもこんなことしていても虚しいだけだから、僕はもう辞めるよ。
求めないことを辞めるし、曝け出さないことを辞めるし、頼らないことを辞めるよ。
いまさらだけど、向き合うべきことに、向き合うから。
今度は僕のことを、気が済むまで利用すればいいよ。
気が済むまで、罵倒してくれたらいいよ。
僕は、全部受け止めるから。もう、自分の弱さを盾に逃げないから。
何があっても、ひとりにしないから。
ひとりで泣かせたりなんて、しないから。」
最初からこう言えてれば、よかったんだけどね。
きみの記憶に残る消耗品になりたい