空っぽの心
太陽が暴力的に照り垂れている。アスファルトの表面はぬらぬらと沸いていた。
歩いていたら、干からびて横たわっている蛇と目が合った。もう内臓もひしゃげていて死んでいるものだと髙を括っていたら、目が合ってしまった。
冷たい目で睨まれると動けなくなった。じっと動かないでいると、蛇はゆっくりと頭をもたげ、ギラついた口を開け、一瞬で飛び掛かってきた。声も出ない。
蛇は狙ったかのように、空っぽの心に噛みついた。
太陽が弱音を吐いてくぐもった。ひんやりとした風が吹いて目を開けると、蛇は横たわっていた。恰も絶命したばかりのように、まだ瑞々しかった。
心が何かで満たされた。
わたしは、冷えたアスファルトの上に立ち尽くしている。
そして、夜に溶けていく。
終
空っぽの心