空っぽの心

太陽が暴力的に照り垂れている。アスファルトの表面はぬらぬらと沸いていた。

歩いていたら、干からびて横たわっている蛇と目が合った。もう内臓もひしゃげていて死んでいるものだと髙を括っていたら、目が合ってしまった。

冷たい目で睨まれると動けなくなった。じっと動かないでいると、蛇はゆっくりと頭をもたげ、ギラついた口を開け、一瞬で飛び掛かってきた。声も出ない。

蛇は狙ったかのように、空っぽの心に噛みついた。

太陽が弱音を吐いてくぐもった。ひんやりとした風が吹いて目を開けると、蛇は横たわっていた。恰も絶命したばかりのように、まだ瑞々しかった。

心が何かで満たされた。

わたしは、冷えたアスファルトの上に立ち尽くしている。

そして、夜に溶けていく。



空っぽの心

空っぽの心

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-12-08

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