学歴(チート)ライバル

ヤリクリー

注意事項
①このお話はフィクションです。
②米印はト書きです。読まないでください。
③米印のないカッコ内は読んでください。
④この台本は、6人か5人で演じます。6人の場合は、男性と女性が3人ずつか男性4人と女性が2人。5人の場合は、男性3人と女性が2人で1人はナレーターとの兼任となります。

学歴(チート)ライバル

〔登場人物〕
・笹川仁(ささかわひとし)…18歳。熱血な元気少年。♂
・荒木元信(あらきもとのぶ)…18歳。冷静。♂
・服部孝也(はっとりたかや)…17歳。静かな眼鏡マン。♂
・江崎真尾(えさきまお)…23歳。クラスの担任。♀。
・飯田江美(いいだえみ)…18歳。江崎のクラスの女生徒の1人。♀
・ナレーター(N)…性別指定なし。キャラクターとの兼任も可能。


N:ここは国立せせらぎ高校。そこにある3年生の江崎真尾が担任を務める3年3組は、特に偏差値や校内順位に過敏すぎるほど敏感であった。その中のツートップ、笹川仁と荒木元信は常に学年順位の1,2を争っていた。
そんな中、突然、一人の無名生徒がこのランキングにランクインをしてきた。


江崎:みんな。先日の期末テストの結果を返しますよ。今回も今回とてトップ争いは激しいわね。学年でトップ20に入れるように今後も頑張ってね。

荒木君から返していくわよ。


荒木:はい。

?!

江崎:荒木君。今回は何かあったのかしら?少し様子がおかしいわよ?

笹川:ん?どうした??

荒木:…。

…後でそっちを見させろ。

笹川:お、おけ…。

(あれ?荒木、今回はおかしいなぁ。何かあったのか??)

江崎:笹川君。

笹川:今回は学年とクラスで2位か。
…まぁまぁってところで。相変わらずの俺か。

荒木:さんい。

笹川:3位ね。

“3位?!”

江崎:服部君。

服部:はい。(※比較的小さめな声)

江崎:“貴方が今回の期末テストの優勝者よ♡おめでとう。”

服部:…あ、ありがとうございます…。

荒木:…!!!!(※かなりの怒り心頭)

笹川:誰だ?アイツ。これまでの上位陣には全然見かけねぇぞ。

江崎:前まではかなりの後方にいたけど、今回はかなりのジャンプアップね。一気にナンバーワンになるなんて、この短期間でかなり仕上げてきたようね。


N:服部孝也。物静かで眼鏡をかけている、いわば“陰キャ”。うわさではかなりのアニメオタクらしいが実態は不明。これまでのテストの順位では300人中225位と、まったくもってのダメダメであった。担任や学年主任からも厳しいことを口酸(くちす)っぱく言われてきていた。
ようやくその努力が実った。“ザ・ビゲストムーバー”である。誰がこの男が優勝すると予想していたのだろう?

“神のみぞ知る”ということの1つなのであろうか??


荒木:…あのお方でしたか。

笹川:(あ、ようやくいつも通りになった。)

みたいだな。てか、あんなヤツ、この学校にそもそもいたっけ?どっかの高校から引っ越してきたとか?

荒木:過去の名簿に目を通すと、彼の名前は入学した当初からありました。

ここまでの大きなランクアップです。カンニングやその他チート行為も疑いたくなります。流石に校内試験でそこまでの行為をするとは思えませんし、したとしても何故この程度の試験でやるのか。謎でしかありません。

笹川:だよなぁ~。そりゃあ疑いたくなる気持ちも分からなくはないぜ?俺だって“リクエスト”したいくらいだよ。

江崎:今日はここまで。すぐに学年末テストが始まるし、“セントラルグランプリ”ももう目の前よ。今回の反省を生かして、試験ラッシュ頑張りましょう。

笹川:起立。礼。

笹川・荒木・服部・飯田:“さようなら”

江崎:さようなら。


N:放課後、1人教室でうなだれている荒木。
その様子が気にでもなったのか、クラスメイトの飯田が心配そうに声をかける。

荒木:…。

飯田:もっち…。

N:“もっち”とは、荒木のニックネームの1つである。

荒木:…。

飯田:もっち…。

大丈夫だよ。今回はたまたまこんな結果になっただけだから。TOP3に常にいるなんて、私にはできないなぁ~。

荒木:…そ、そうじゃなくてさ…。
(※気弱そうな声)

飯田:?

荒木:順位は別にいいんだけど、1位の人が何だか憎く感じるんだ。上位ランカーでもない無名の男子生徒がいきなり考査を制するだなんておかしいんだ。

不正をも疑いたくなるよ。

飯田:…確かに、私も違和感は感じていたわよ。地味で眼鏡で自分の机から一向に離れようともしないその姿。

女性としては、アイツには近づきたくはないわね。

荒木:…飯田さん。

1つの仮説を自分で今建ててみたんだけどさ。聞いてくれるかな?

飯田:えぇ、いいわよ。

荒木:もしかしてなんだけど、

“教員・学校ぐるみの不正考査なんじゃないのか?”ってね。

飯田:何で急にそんな大規模な仮説が出てくるの?

荒木:つい最近の麦国(ばくこく)大統領選挙でさ、マイテンが勝った、何とか言ってるでしょ?現役のウノ大統領に圧倒的大差をつけての完勝。
選挙前の予想では、圧倒的多数でウノ現大統領が勝つと予想されていたんだ。“ほぼ100%”で。満場一致、って表現してもおかしくはないね。

でも、蓋を開けたらまさかの結果。大真言(だいしんげん)って名前の、信憑性(しんぴょうせい)が非常に高いニュースによると、この結果は非常に信じがたいみたいなんだ。何なら、その報道局は選挙の勝者を正式に伝えていないんだ。

飯田:確か、マイテン氏側に不正行為があったとかなんとかで裁判沙汰になっているんでしょ?

荒木:そういうこと。

しかも、ヤツには腐るほどのスキャンダルがあるんだ。ヤツの息子、ランサーのハニートラップ。小児性愛、ってやつさ。14歳の少女に性行為をしたとかなんとか。忠国(ちゅうごく)から多額の資金を得ていたとかなんとか。しかも、スクナイナの某油田会社の首脳の1人だったんだと。その油田会社の株の10%ほどは“The Tall Man(ザ・トールマン)”って名前の人物が持っていたそうだ。
ちなみに、その正体は“マイテン氏”なんだと。

飯田:…ということは、

“服部は学校や教師に賄賂(わいろ)を送ってこの結果にさせた”と?

荒木:そういうこと。

もし、これが実際に起こっていたのであれば、かなりの大惨事になるよ。学校の存続すらも危うくなるし、下級生たちにも同様の事が起こっていたらタダでは済まされないね。

飯田:私たちの可愛い後輩くんが心配だわ。

私からも1つ聞きたいんだけど。

荒木:ん?何だ??

飯田:ササ、江崎先生のところに向かったわよね?

荒木:あぁ。何か話し込んでいたな。

飯田:“防犯カメラの映像”を探しに行ったのかも。

N:“ササ”とは、笹川のニックネーム。

荒木:それは十分あり得る。

さっきから、“リクエスト!リクエスト!”と何度も連呼していたね。その可能性は否定しない。


飯田:しかも、この防犯カメラ。

“ササのおじさんが社長”のところの物だから、その権限を使って調査をするのかも。
おじさん、かなり不正とかそういったものにはうるさいから。


N:ところ変わって、ここは職員室。
荒木の推測通り、笹川は防犯カメラの動画確認をしたいとしきりに江崎に頼み込んでいた。

笹川:お願いです!見させてください!!

江崎:流石にそれは無理があるわ。
私は学年主任でもあるけど、その許可は出せないわね。何か“殺人とかの大きな事件”が起こったわけでもないし。

笹川:おっしゃる通り、殺人やスリ、窃盗は全くもって発生しておりません。

…ですが、“カンニングや賄賂も立派な犯罪”です。カンニングは軽犯罪かもしれませんが、賄賂は重罪です。社会的信用の失墜に繋がります。

江崎:…ま、まさか。そんなこと、学校で起こるわけないでしょ?しかも、入学したばっかりじゃなしに。もう少しで貴方たちは卒業なのよ?

“あり得ないわ。”

笹川:“あり得るんです”

証拠がほしいという顔をしそうなので先にお伝えしますね。

江崎:ギクっ!!

笹川:先生は、つい先日の大統領選挙の関連ニュースを見たことはありますか?

江崎:え、えぇ。現大統領が勝つと思われていたのが、マイテン氏になったのよね?

笹川:ま、ほとんどのクソゴミはそう伝えていますね。

ですが、“本当の勝者はまだ分かっていないんです”

江崎:嘘ね。結果が出ているじゃない。

笹川:確かに、“結果は出ています”。これは事実。
ですが、その“結果の内容”は異常なのです。

パーセンテージで伝えるなら、マイテン氏が75%以上を制しているのです。8割ほどでしたっけ?少なくとも、過半数は優に越しています。これは違和感がありすぎます。


江崎:悪いけど、今、私たちは現代社会の授業はしていないわよ?

笹川:そうですね、先生の担任は数学です。

それなら、投票率の割合に“すぐに”気づきますよね?投票率が750%やら1080%、447%云々(うんぬん)。これに気付かないとは、先生自身も異常があるようですね。

N:あまりにも笹川がヒートアップしてしまったため、周辺の教師陣が彼を荒業(あらわざ)で止め、校長からも叱責を喰らった。

笹川:(この学年にあの校長…。

絶対に何か裏があるはずだ。探せば出るはずだ。埃が舞に舞うはずだ…。)


N:数日が過ぎたある日の休日。

校門の前で待つは江崎。そして、“ヤツ”の姿。

服部:あ!せ、先生…。

江崎:服部君、待ってたわ。

服部:こ、こちら、“バームクーヘンの1本”、買ってきました。

江崎:ありがとう、服部君♡
あとで先生たち皆で頂くわ。

N:袋の中にチラリと見える“ご祝儀”と印字された封筒。

江崎:“私たちへのご祝儀”も、ありがとう♡

服部:は、はい!

…で、では!!

江崎:気をつけてね。ありがとう♡


飯田:あ、あの陰キャ眼鏡。やっぱし。

N:この一部始終を捉えていた“笹川の防犯カメラ”。そして、たまたま図書館で勉強をしており、目の当たりにした飯田。

そして…。

荒木:さて。勉強用具を買いに父の車に乗っているんだけど…。


江崎:“私たちへのご祝儀”も、ありがとう♡

服部:は、はい!


荒木:“あ…。”

おっと!!


N:危うく事故りかけた荒木の車。ピピ、っと音が鳴る。

“2人の決定的瞬間を捉える。”


荒木:(…やはり、予想通り。)


N:家に戻り、社長である父の許可を得て防犯カメラの映像を洗い流す笹川。

笹川:BINGO。

“俺たちは騙(だま)されたりしねぇ…。”


N:それか10日ほどが経過した頃。せせらぎ高校では、とある噂が立っていた。

“誰かがこの学校に賄賂を送った”というものだった。


江崎:“皆。皆、落ち着いて。気持ちはわかるわよ。

この後、緊急の全校集会があるから。詳しいことはそこで。”

荒木:(やれやれ。私はとっくのとうに証拠を握っていますから。)

飯田:(今頃集会を起こしても遅いわ。)

笹川:(俺たちには、とびっきりのサプライズを用意しているのさ…。)

服部:…。


N:そして開かれた全校集会。校長からの状況説明があり、誰も手を挙げない質疑応答。

終わりかけていた…。


笹川:“ちょっと待ったぁ~~~~~!!!!!!!”
(※かなり大きめの声で張り上げるように)

江崎:さ、笹川くん?!

飯田:“私たちは、この事件の犯人を知っています!!!!”
(※かなり大きめの声で張り上げるように)

服部:…(泣)
(※涙がチョロリ)

荒木:“我々がその証拠を今から存分にお届けいたします!!

特大スクープ、必至です!”
(※かなり大きめの声で張り上げるように)

江崎:“み、皆?!”

荒木:“皆さん!

今からお見せする数々は、この事件の真犯人とそのやり取りの一部始終を捉えたものになります。これを見れば、全てが解決します。”


N:かくして、急遽(きゅうきょ)開催された暴露大会。
笹川の防犯カメラの映像に飯田が撮影をした2人のやり取りの静止画に動画。荒木の車のドライブレコーダーに“偶然にも”撮られてしまった“ヤツら”のやり取り。


江崎:“私たちへのご祝儀”も、ありがとう♡

服部:は、はい!

…で、では!!

江崎:気をつけてね。ありがとう♡


江崎:…。

服部:…。
(※意気消沈状態)


荒木:以上のやりとりより、犯人は“服部孝也(はっとりたかや)”。映像に映っていた江崎真尾(えさきまお)も同罪です。

笹川:校長先生をはじめとした教師陣全員もグルと言えるでしょうね。
今から見せる動画には、職員室でのやりとりが流れます。

しかし、この動画を見て、“よくある職員室のシーン”とは言い難いでしょうね。


N:流れてきたのは、分厚い祝儀袋の中にある大量の万券(まんけん)を全教師に配布をしていた様子。一見すると、少なくとも1人10万円は頂いているように見える。

笹川:これで、貴女方(がた)教師陣は何も言えませんよ?

“合成映像でも何でもないんで。ありのままが撮られているのです。”


N:教師陣が完全に黙りこくった。

“この事件の全貌が明らかとなったのだ。”

飯田:以上で、証拠提示を終わります。時間の都合上、質疑応答は今は受け付けません。教室に戻った後で紙に感想でもなんでも良いのでお書きしていただいて、我々にお渡しください。


N:全校集会が終了。

江崎が、ついにその口を開いた。

江崎:…そうね。今回は、私も犯人ね。
共謀者、と表現しても良いかしら?

荒木:先生。だからあれだけ不正はよろしくはないとお伝えしましたし、時事も挙げましたよね?
もう言い逃れはできません。観念してください。

飯田:この事件の黒幕は、服部ね。

服部:…はい。
(※完全にしょげてます)

笹川:“今頃謝っても遅いわぁ~~~~!!!!!!!!”


N:笹川は服部の顔面に勢いを付けてパンチをお見舞い。眼鏡は玉砕(ぎょくさい)され、顔面もボロボロ。鼻血も見える。

服部:う、うぅ…。

笹川:もう一発じゃ!喰らえ!!

服部:グヘっ。
(※文字では表現しにくいような声を発する)


N:次は服部の腹部をえぐるようにパンチング。吐きかけるも、何とか耐える。


荒木:当然ですけど、先生にも1発や2発はお見舞いさせても問題はありませんね?

飯田:私がやるわ。せっかく教師を目指して頑張ろうと思ったのに、今回の一件でおじゃんになったわ。

“その分の恨み、ここで晴らす!!”


江崎:え?!ちょ、ちょっと待っ…。

飯田:(※江崎の言葉を遮るように)
“先生の裏切り者ォ~~~!!!!”

江崎:グハっ。
(※文字で表現しがたい声を発する)


N:飯田のKO(ケーオー)パンチが江崎にクリティカルヒット。ノックアウト。


荒木:2人とも、ここまでにしよう。今、警察を呼んでおいたから。
3分もすれば到着するみたいだから、あとは彼らに任せよう。

笹川:あぁ。

飯田:うん。


N:その後、警察が到着し2人と校長を逮捕。教師陣は皆(みな)事情聴衆され、全員が逮捕。残りの全生徒はとりあえずは自宅学習となった。
それから数カ月後、3年生は入試の受験機会が確保され、無事にそれぞれの道へ。下級生たちは他の高校の力によって助けられ、第二のハイスクールライフを送ることとなった。肝心のせせらぎ高校はというと、すぐに廃校。裁判の結果、例の3名は獄中生活。残りの教師陣は免許剥奪(はくだつ)となり、取り直しも禁止。また、日本全国の学校へも出入り禁止となった。

服部:甘い考えにすがっていた僕がバカでした!!!!

江崎:私の心の甘えのせいです!どうか、どうかお許しを~~!!!!

飯田:みんな!せーの!

笹川・荒木・飯田:“絶対嫌だ!!”


N:年が明けて数か月後。3人は各々(おのおの)の道を歩んでいた。

笹川:お!荒木じゃん!

荒木:あぁ、笹川さん。お久しぶりです。

笹川:お久しぶりよ。元気にしてる?

荒木:見ての通りですよ♪

飯田:異常なし!

荒木:飯田さん、こんにちは。お久しぶりですね。

飯田:えぇ、お久しぶりですね。
御二方の現在は?

荒木:私は内科の医師を目指して猛勉強中です。

飯田:荒木さんにピッタリですね♪
笹川さんは?

笹川:俺?

俺は文学部さ。近現代の日本の書籍の特徴と、今後の紙媒体はどうなるのかを調査中さ。

飯田:何かカッコいいですね♪

笹川:だろ?
(※少し調子に乗ってます)

そういう飯田さんは?今は?

飯田:私は、やっぱり学校の先生を目指しています。

笹川:いいじゃんいいじゃん!

飯田:あの時の一件から、真面目でまともな先生として・生徒から信頼される先生を目指そうと心の片隅で思っていて、その気持ちが大きくなりましたね。

荒木:皆の憧れになれるよう、信頼を取り戻せるように頑張ってください!


飯田:私たちの高校時代は滅茶苦茶だったからね。嫌な思いを、これから産まれてくる子供たちに嫌な思いをさせたくないから。

笹川:俺たちがこれからの道を作っていく。未来を紡いでいく、これからの戦士たちのために。

荒木:また皆でお話が出来るように。明るい未来になれるように。

飯田:“私たちの未来は、私たちで手に入れる”

学歴(チート)ライバル

【注釈】
・リクエスト…プロ野球で導入されている“ビデオ判定”のこと。バレーボールでは、“チャレンジ”という名称で類似のシステムが導入されている。ここでは、試験中の服部の様子を伺いたいということで笹川が発言をしている。
・セントラルグランプリ…旧(?)“大学入試センター試験”の名前をもじったもの。内容は、同試験に同じ。

学歴(チート)ライバル

現在、世の中では不正行為がありとあらゆるところではびこっています。時には選挙。時には試験。数えるにもキリがありません。 今回は、とある高校を舞台にした不正行為に関する物語。内容はフィクションですが、不正行為は絶対にしないでください。 (作者の私も他人のことが言えませんが…。)

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