バンク・バンクラプト
利子付きの愛には際限が無いから嫌いだ
この得体の知れない流れにされるがままになっていれば
惜しくもない積み木崩しのように
遅かれ早かれ瓦解してしまうだろうから
出来る事ならば僕は
たった一つの言葉以外何も発したくはないのだ
そうだな、意味の伴わない言葉なら何だっていい
僕は意味の無い事しかしたくないから
あるいは、意味の無い事をしていると見なされれば
それ以外何も望まないから
僕を取り巻くすべてが、
白紙という一つの墓場に収束して初めて
僕は僕という呪縛から解放されて、
逐一理由なんて後付けしなくても、
刹那の一枚一枚を
心から愛する事が出来るだろうから
この偏執病も薄らいで、
いずれ空気と同化していくだろうから
くすんだ色の花に見惚れる事も、
灰色の空の彼方を想像する事も、
悴んだ手脚を引き摺って歩く事も、
現実が軋む音に耳を澄ます事も出来るだろうから
それまで残酷としか思えなかった白が、やさしい色のように思えた
一つだけ記憶を墓場に持っていけるとしたら
僕は自分以外の名前を連れていきたい
バンク・バンクラプト