錆の味

足りないものを数えるのはもう疲れてしまって

錆だらけの想い出の中に両足を突っ込んで

きょうも惨めに生き永らえていた

つまらないことばかり考えるようになって

つまらないものばかり見つめるようになって

つまらない足跡ばかり探すようになった

そのつまらなさが、つまらない僕にはお似合いだった

今いる場所もわからないのに、どこを目指して歩くというんだ

自分の言葉に自分で傷つき、自分で治してまた傷ついて

救いようのない、つまらない反復をしている

何かの洗脳のように、何かの贖罪のように

自慰と自傷の境界を失い、終わった人間がそうするように

手放したいものばかりだ 息苦しいことばかりだ

忘れてしまえば、ああ、忘れてしまえばいいよ

それは本当に自分の言葉なのだろうか?それが自分の本心なのだろうか?

想い出は泥濘に変わり、西日は僕に構わず沈み

僕は自分の笑顔が酷く歪んでいることに いつまでも気附くことができなかった

錆の味

錆の味

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-11-28

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