錆の味
足りないものを数えるのはもう疲れてしまって
錆だらけの想い出の中に両足を突っ込んで
きょうも惨めに生き永らえていた
つまらないことばかり考えるようになって
つまらないものばかり見つめるようになって
つまらない足跡ばかり探すようになった
そのつまらなさが、つまらない僕にはお似合いだった
今いる場所もわからないのに、どこを目指して歩くというんだ
自分の言葉に自分で傷つき、自分で治してまた傷ついて
救いようのない、つまらない反復をしている
何かの洗脳のように、何かの贖罪のように
自慰と自傷の境界を失い、終わった人間がそうするように
手放したいものばかりだ 息苦しいことばかりだ
忘れてしまえば、ああ、忘れてしまえばいいよ
それは本当に自分の言葉なのだろうか?それが自分の本心なのだろうか?
想い出は泥濘に変わり、西日は僕に構わず沈み
僕は自分の笑顔が酷く歪んでいることに いつまでも気附くことができなかった
錆の味