狂酔

性懲りも無く、簡単に壊れるものばかり愛してしまうな

腐心して築き上げたものも風に煽られればほら、呆気なく崩れ落ちてしまうから

絶対だと信じて疑わなかったものが跡形もなく砕け散っていく

目の前で自分が否定されていく、何かの罰のように。

罰を実際に叩きつけられて初めて、人は自分が背負っていた罪の存在に気附く

代償とその対価という因果を、二度と同じ過ちを繰り返さないよう刻みつけられる

必然的な報いだと誰かに嗤われるように

必然的な顛末だと誰かに教え諭されるように

その何かも誰かも、自分が一番よく知っているはずなのに目を合わせまいとする

非情な現実を前にすると誰だって一度は茫然自失の様相になってしまう

諦めの悪い人間は同じ過ちを繰り返し、その度にまた烙印を押される

歪んだ理想が意思を持ち、その甘言に唆されるかのように従順になる

人間は生きている限り自己矛盾から逃れる事は出来ない。必然を覆す事など出来ない。それでもまだ、そのがらくたに執着するというのか?

ああ、残念ながらそうさ。

僕は物分りの悪い、現実主義と理想主義の狭間で生きている狂人だからね。

狂酔

狂酔

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-11-27

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