指について
指について
呼吸するように文を書く人がいるけれど、ぼくは文を書くように呼吸をしているつもりだった。あなたが忘れられてからもう何十年と経ちました。読書家が、ページをめくる。その時間ですら待つことができない。ページをめくってる指だけが根元からぼとりと落ち、ほどよくも何たるスプラッター。不謹慎だけど血液はいい感じに爪を装飾していた。
ページの間にしか真理を見れない症候群。
読書は好きですか。本を読まないなら、焚書してしまいましょうか。文字の一つ一つが燃焼の痛みできゃっきゃと叫ぶよ。指が落ちてしまって、拾い上げるのは面倒で、だから文字が煤になっていくのをボーゼンとしながら見るしかなかった。みんな人生に辟易している。みんな言葉にうんざりしている。そうとでも言わなきゃ次に燃やされるのはぼくらだから。早く逃げて。クラシックを否定したよ。ニューカマーを吊るしたよ。タイムラインに唾吐いたよ。これ以上何をしろというのだろう。煤になってしまえと、ページの間ににらまれている。文字に見張られている。指に指さされてる。
指について