知らないもの④
次の日、雪妃ちゃんは学校を休んだ。
そして、咲紀くんと夏生くんは女の子たちに騒がれている子と言うことがわかった。
ー放課後ー
「彩奈、部活行くー?」
由真がクラスに来て聞いた。
「いや、今日は真っ直ぐ帰るうー。」
そう言うと由真は首を縦に振り、うちは行くと言った。
「キャー!」
急にクラスの女の子たちが騒ぎ始めた。
クラスの扉を向くと咲紀くんがずがずがと入ってきた。
「よう、御影。妃雪休みなんだろ。お前に話しあんだよ。」
無愛想に、むくれながら言う。
きっと夏生くんが無理矢理ここに来させたんだろう。
「な、なによ。」
「お前は今日から寮だからな。妃雪を守んのに、バラバラだと不便だからさ。」
あまり楽しくなさそうに言う。
「何それ、聞いてない。」
「てめえの親父にも了承済みだよ。」
イライラしているのがよくわかる。
荒々しい口調は耳障りだ。
「あと、後で本気で話しあるから俺らの部屋来いよ。」
それだけ言うと出て行った。
その後、クラスの女の子たちからの質問攻めはひどかった。
ため息をひとつつき、部屋の前に足を運んだ。
お父さんに連絡を入れたらそうだよ!と言われて泣きそうになった。
本当に適当なお父さんなんだから。
ーコンコンコンー
「おう」
中からそう聞こえた。
中に入ると思った以上に綺麗な部屋だった。
整頓されていて、あまり物が溢れていない。
「おじゃまします。」
「どうぞ。」
夏生くんが、ソファの上で本を読んでいた中一言言った。
「な、なんでしょうか。」
「妃雪が休んだ理由、それは昨日の疲れでの発熱、嘔吐、気怠さ。」
咲紀くんがそう言い放った。
「しかも昨日は御影にまで力送っただろうから、かなり酷いだろうな。」
なんか、思った以上に雪妃ちゃんは重症?
「もし、てめえがあいつを守る気が無かったら、あいつの目の前からいなくなってほしい。」
「そうしないと妃雪さまはちからの与え損になる。」
黙って本を読んでいた夏生くんまでが言い出した。
「え?」
「あなたは今普通の人よりできることが増えている。
運動神経もアップし、頭脳だって異常だろうな。」
そういえば、今日のプリントはよく解けた。
これのせいなの?
「・・・」
黙りこくる私を見て咲紀くんが痺れを切らしたように言った、
「てめえが思ってる以上に深刻な内容なんだよ。」
「・・・じゃ、じゃあ、やるよ。やる。雪妃ちゃんを守るよ。」
「クラスの子が妃雪様に手を出したときはあなたは真っ先に妃雪様を守らないといけないですよ?」
夏生くんがくいと眼鏡を上げて言った。
それはクラスの子を敵に回すと言うことでもある。
「・・・う、うん。」
「もし、できなかったら俺はお前をぶっ殺す。」
知らないもの④