精神旅行
手をつなぐ。ゆくえ。
そのあとのことを、かんがえる夜は、いつもの虚しさよりも、もっと深い虚しさに、しんでしまいそうになる。でも、そういうときに、きみはいるのだから、ふしぎだ。かたわらで、カフェモカをのんでいる。テレビはなんだか、おもしろくないと思っていたのに、お料理番組だけは、ゆるせてしまう。つくらないと思うけれど、メモもとっていないし、でも、つくれたらいいなとあこがれるものは、ある。ローストビーフとか。
ようやくここに、かえってこれた。
ぼくは、いままで、どこに行っていたのかというと、べつに、どこにも行っていなかった、ので、たんじゅんに、きもちの問題。宇宙のこととか、世界平和のこととか、想っていられればよかったのに、そんな余裕もなかった。恋をしていたら、楽だったような気もするけれど、そんな、いきなり恋なんて、できるはずもなくって、けれども、きみが、
「きみは、きみでいいんだよ」
という瞬間、きみと、恋ができたらいいのにと思ったのは、ないしょにしている。
ねこがなく、二十二時。
世の中はもう、年末に向かっていて、みんなちょっと浮かれてる。そんな感じ。
精神旅行