水彩

渡逢 遥

手放したものさえ綺麗になっていく

わたしの知らないところで勝手に綺麗になっていく

強がりから零れたさよならは余りにも惨めで

まるで自分自身にも別れを告げているようだった

過去も未来も現実も焦れったく明滅するばかりで

すみなれた皮膚を剥ぎ切るにはいつも

どうしても涙が足りなかった

冷静さを欠いていたのは

想像力が足りなかったのは

あなたじゃなくて わたしの方だった

あなたと出会う前から一人でも生きられる力をもっていれば

錯乱せず 冷静に向き合うことが出来て

想像をはたらかすことが出来たのだろうか

浅はかなことばかり言っていたのだと

いまさら気がついたところでもう どうしようもない

背を向けたのはわたしの方なんだから

すこし気を抜けば そこらじゅうに名も無い花が咲いてしまう

わたしはあなたの記憶の中で 美しくならないことをただ願っていた

水彩

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  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-11-15

Copyrighted
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