いつか、光の中で
いつか、光の中で
点滅していれば、何もこわくなかった。だから星は点滅していた。夜空を見上げれば自然と口が開いて、欲しくもなかった酸素が入ってくる。つめたく循環する。瑠璃色と藍色とよどみですっと冷える。あの日、素直に死んでいればよかったのに。気温と湿度と密度の中で、命がこすれて音を立てた――
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主語が失われた文は首のないきみみたいで、ぎりぎり認識できるかどうかの境目だった。下手したらR-18Gに指定されるレベルの異常だった。お医者様に見せても治らないなら、山奥で、ドリルを使って粉砕するほかなかったんだ。どうして。粉砕されたら、いよいよ文だかきみだか感情だかわからなくなった。感情だったら大変なんだけれどなあ。涙までは粉砕できなかった。さみしい。いっそ、山犬にでもなって逃げ出せればよかった。ごめんね、すぐ忘れてあげるから、ね。
明日の朝、分断と統合のハザマにぼくはぼくを見出します。いつか、光の中でぼくらが点滅していた時代に、ぼくだけが点滅できなかったから明日はきっと朝が来ます。あの日、素直に死んでいればよかったのに。後悔さえも不十分で、過呼吸だけに存在を認識されたかったとか思ってたりもした。いつまでもいつまでも明日は来るし、朝のために余白はあるし、そもそも朝から明日は始まるよ。だからぼくは、昨日も今日もいつまでも点滅ばかりを繰り返している。何も学習していないし、何も学習する気はない。
いつか、光の中で