嘘つきふたりの最後の笑顔

きみはこんなときでも強情だね

でも僕も きみに負けないくらいそうなんだろうな

自分の限界には誰からにも呆れられるほどに疎いか

気づいてない振りを決め込むかしている癖に

他人のそれに感づくのは早いだなんて まったく滑稽だよな

僕らは虚栄心の奴隷みたいなものだ

かりそめの言葉に安心してしまうのは

永遠なんてふたりとも信じていなかったからだろう

信じていたのは 互いの歪んだ正義だけだった

でもその複雑さは 僕らの不器用さをよく表していたね

見え透いた嘘に僕は 幻滅も軽蔑もしなかったよ

それがきみなりの感情表現だってことは

きっと僕しか分からなかったから

そして僕もきみと酷く同じだったということを

きっときみしか分かってくれなかっただろうから

そんな不器用さを最期まで貫いてくれたきみのことを

僕の不器用さに最期まで付き合ってくれたきみのことを

僕は心の底から愛している。

嘘つきふたりの最後の笑顔

嘘つきふたりの最後の笑顔

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-11-12

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