嘘つきふたりの最後の笑顔
きみはこんなときでも強情だね
でも僕も きみに負けないくらいそうなんだろうな
自分の限界には誰からにも呆れられるほどに疎いか
気づいてない振りを決め込むかしている癖に
他人のそれに感づくのは早いだなんて まったく滑稽だよな
僕らは虚栄心の奴隷みたいなものだ
かりそめの言葉に安心してしまうのは
永遠なんてふたりとも信じていなかったからだろう
信じていたのは 互いの歪んだ正義だけだった
でもその複雑さは 僕らの不器用さをよく表していたね
見え透いた嘘に僕は 幻滅も軽蔑もしなかったよ
それがきみなりの感情表現だってことは
きっと僕しか分からなかったから
そして僕もきみと酷く同じだったということを
きっときみしか分かってくれなかっただろうから
そんな不器用さを最期まで貫いてくれたきみのことを
僕の不器用さに最期まで付き合ってくれたきみのことを
僕は心の底から愛している。
嘘つきふたりの最後の笑顔