肋骨について

肋骨について

それなりに満足はしているけど、実質八割がた負け惜しみで、あくまでくだらない自己肯定のためだけに、きみは感情を動かすことにしたのさ。ほんきで生きて、いったい何になりたいんだか。まさか、人間のまま一生を終えるつもりじゃないだろうね? そんなこと許せない。
ほんきで生きる、ということは脳みそまで心臓にしてしまうようなきわめてもったいない行為でしかない。脳まで心臓の筋肉だから、かなしさとかいう悪意になんて気づけるわけがない。ぼくは明日地球からいったん身を引いて、きみのあほらしさを笑ってみるよ。でもそういうことにはすぐ飽きて、きゅーんとさびしくなって、また何十年後かには地球に戻ってくるだろう。怠惰なきみは、すっかり大人になってしまっている。ぼくは、将来の夢とか特に持ってはいないけれど、しいて言うならきみの肋骨になって、心臓の心臓を守りたい。ある日お行儀のいいドラゴンが宇宙から降ってきて、きみの肉にかみつき、きみの肉を食いちぎり、きみの肉は「いたいな」と思いながら、きみの肉がすっかりしゃぶられたときには、どういうわけかきみは骸骨になって、ぼくはぽつんとこの宇宙の覇権をにぎる一角になる。ぽつんと、そういう肋骨でありたい。

肋骨について

肋骨について

心臓の心臓を守りたい。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-11-04

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