非日常4

深遠。最悪な落ち。
こういうのもたまにあり。

目をつぶって通学するのにはまってる。
始めてすぐの頃はよくヤクルトレディにぶつかって痛い目にあっていた。
ヤクルトレディはレディであって、ガールではない。
ガール。例えば女子高生とぶつかれば、それがきっかけでお付き合いできるかもしれない。
そう思った俺はアイマスクを外して、右1.2、左 1.5の視力で女子高生に突撃するようになった。
しかし、1週間ほどしてそれが誤りであることに気づいた。
俺は、視覚に次いで聴覚、嗅覚をも封じた。
女子高生を追い回した1週間は俺の成長を止めた。
この1週間を取り戻すために3倍のハンディキャッ プ(視覚、聴覚、嗅覚封じ)を自らに課すことは常識人なら自然に出てくる考えだった。
通学路はもはや無音の暗闇でしかなかった。
が、恐怖はなかった。
無音の暗闇こそ我々人類が帰る場所。そこはまさに母の胎内を思い出させてくれる。
俺は安心した。 そして、ぶつかった。
アイマスクを外すとヤクルトレディの中にいた。
というかつながっていた。
やっぱり女の人の中は安心するなと思った。

おしまい

非日常4

つづく

非日常4

シュール。かつ、最悪な落ち。

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 青春
  • 青年向け
更新日
登録日
2012-11-17

Copyrighted
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