檻の中の人

動物園に行った
色んな動物を見た
可愛い動物からかっこいい動物までいた

閉園を知らせるホタルノヒカリが流れ始める
人々は出口に向かって歩きはじめる

出口について扉を開けようとするが中々開かない
その内出口には人だかりができた

音楽が流れ終わると同時に動物たちの笑う声が聞こえる
何だかはなしているようだ
いや 話している

「今日の人間は中々の馬鹿面揃いでしたね』
「私なんか後少しでおしっこかけられるところだった」
「食べ物投げてよこすから喜んだふりしてあげまひたよ」
「可愛い 可愛い言うので愛想振りまいたよ」 
「僕はあまりにもうるさかったから寝たふりしたさ」

人々は何が何だか分からず憤慨している
一人の男が言った
「おい、動物のぶんざいで偉そうなこと言うな」
それを口火に人々も言い返した

動物たちが面倒くさそうに言った
「あんたらも動物だろ 脳みその大きさの違いでしょ 私たちもあなた達のことをよく見ているよ」
「檻が見えるか見えないかの問題 私たちにはあなた達も硬くてしっかりした檻に入っているのが見てるよ」 
人々は慌てて見えない檻から出ようとしたが
動物と違い自ら入った檻からは抜け出すことができず
動物達に鑑賞されるのであった

檻の中の人

檻の中の人

  • 自由詩
  • 掌編
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-11-02

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted