泥梨の底

いつかとか、いつまでもとか
そんなの全部要らないよ
そんなの苦しいだけだよ
今を、今をただ見ててよ
飾らないきみを見せてよ
飾れないわたしを見ててよ
からっぽの水槽の底から
泡沫を飛ばすわたしを見ててよ
わたしの無様な姿に気づいてよ
そこからここへはそんなに遠いの
きみは何処へ行ってしまったの
わたしは何処まで沈んでいくの
情動に嘘を吐いたら、死ぬよ
あなたは一体、何回死んできたの
わたしはもう、二度と死ねないんだよ
何も知らないきみはまだ、何度でも死ねるんだよ。

泥梨の底

泥梨の底

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-11-01

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