自選短歌 2020年10月
永遠はてんとう虫の星の間に映った空の遥かな深さ
遠雷に貨物列車を走らせて線路はとうに無くなっている
友達を探しに山を降りてきたわけではなくて熊は撃たれる
ちょうどいいカバンは見つけられないし入れたいものもよくわからない
側転で頭が下になったときわたしの脚は無様に縮む
体温が低くて測り直されるあいだのどうしようもなさって
物置の隅に忘れた自転車の空気入れからやあと言われる
コスプレと言うから期待してたのにアーティスティックなカボチャのお化け
大空で破裂したあとべに色は濃く淡く散りコスモス畑
鳥籠のセキセイインコが啄んだ君のうたた寝の数分間
自選短歌 2020年10月