その手が血で穢れていても
あれからどれだけの歳月が過ぎただろう
わすれたところで
わすれたふりをしたところで
なかったことにはならないのだから
わたしはあらゆることを
零すことなく憶えていたい
正直でいたい
わたしがわたしのために
わすれないためにできること
それはもう
書くことしか残されていない
書くことで自分に刻みつけることしか
それしかできることが なくなってしまった
わたしはきっと、自分を認めたかったんだと思う
もう、目を逸らさない
目を背けない、閉じもしない
真実を知るために
血を流すことも厭わない
正しいことをしているふりだけは、してはいけない
正しいことをするのに、理由なんて要らないのだから
わたしはわたしに歯向かう
何度転んでも立ち上がる
何度嗤われても向き合う
何度殺されても生き返る
恐れるものなど、もうありはしない
いつかのわたしよ、準備は出来たか
わたしはこれから、この傷だらけのからだで、おまえを抱きしめにいく。
その手が血で穢れていても