その手が血で穢れていても

あれからどれだけの歳月が過ぎただろう

わすれたところで

わすれたふりをしたところで

なかったことにはならないのだから

わたしはあらゆることを

零すことなく憶えていたい

正直でいたい

わたしがわたしのために

わすれないためにできること

それはもう

書くことしか残されていない

書くことで自分に刻みつけることしか

それしかできることが なくなってしまった

わたしはきっと、自分を認めたかったんだと思う

もう、目を逸らさない

目を背けない、閉じもしない

真実を知るために

血を流すことも厭わない

正しいことをしているふりだけは、してはいけない

正しいことをするのに、理由なんて要らないのだから

わたしはわたしに歯向かう

何度転んでも立ち上がる

何度嗤われても向き合う

何度殺されても生き返る

恐れるものなど、もうありはしない

いつかのわたしよ、準備は出来たか

わたしはこれから、この傷だらけのからだで、おまえを抱きしめにいく。

その手が血で穢れていても

その手が血で穢れていても

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-10-31

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