悪夢 ⑥

年が明けて あっという間にひと月が過ぎた。
貧乏作家に正月も盆も無いと自分に言い聞かせて
原稿に立ち向かうだけだ。

この時期 文壇は、賞の発表で賑やかだが
賞に縁のない売れない作家には、うざい報道に過ぎない。

さて、今年こそは・・・と神にすがる自分に
「紙にすがれなくなったか・・」と苦笑いである。
そんな今日 郵便受けに溜まった封書の中に見慣れた社名が・・・。
また あのハウスメーカー! 「またか・・」

今度は、節分の行事らしい。
今度こそ 福を家に!とハウスメーカーらしい宣伝だ。
これは、また騙しの企画だな。

メイサと思わせて 役所が鬼の面を被っているに違いない!
なんども騙されてたまるか!
封書をゴミ箱に捨てようと思ったが・・待てよ・・・
騙されたふりをしてやろうか・・・
頭の中に妄想が広がってきた。

いつもは、メイサの妄想だが 今回は、違う妄想だ。
どうせ役所が出るのなら 役所をとっちめてやろうではないか。
役所の鬼に 豆を力いっぱいぶつけてやろう。
役所に豆鉄砲ってやつだ(笑)。
俺は、参加することにした。なにか福が来るような予感に興奮を感じた。

悪夢 ⑥

文中に登場する団体・個人は、実在したとしても 本作品とは一切関係ありません。
あくまでも 作者の悪夢を書き綴ったものです。

悪夢 ⑥

  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-11-17

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