金木犀
《金木犀》
隠棲の徒然に、ふと、視線を放つ庭の季節
詐病の宰相や交代した宰相の陰謀や狡猾や
コロナという不条理が晩秋の風に紛れて
やけに気味悪く冷え冷えと吹き渡る
さて、Fukushimaの風なのだから、未だに放射能を運んでいるのか
お前一人だけ、突然に枯れてしまった忌まわしい電柱の脇の金木犀の巨木よ
その測定値ばかりが0、5
報道されない数値だった
子孫を残す暇もなくお前は逝去したんだね
だから、あの妖しくも清々しい秋などはある筈もなく
あの酷暑から、まっ逆さまに、直に、風は北から渡るのだ
金木犀