小さな死

自分をもて、と人は口々に宣うが

私にとって真の恍惚とは

自分が自分でなくなる瞬間

即ち、人目も憚らず狂える瞬間

たった一つ、これに尽きる

私が生きていくには 狂うより他はないのだ

生き甲斐というやつはいつだって

小さな死の中にしかないのだから

小さな死

小さな死

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-10-26

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