君という不自由

ひとつ またひとつと不自由になっていく

抱えた分だけ辛くなるのは 当たり前なのにな

僕はそんな当たり前を 笑い飛ばしたかったのかもしれない

それと同時に 見世物になって笑われたかったのかもしれない

僕の道化を見破ってくれるたったひとりを

辛抱強く 待っていたのかもしれない

僕は、滑稽だよ

それも取り返しのつかないくらいに酷い有様だ

なにせ、こんな回りくどいやり方でしか

苦痛を訴えることが出来ない 天邪鬼だったんだからさ

だからさ、僕は初めて君を見た時

すぐに分かったんだよ、僕と同じだって事が

僕と 同じ言動をしてるなって事が

皮肉にも僕は見つけてもらう前に

見つけてしまったんだな、同じように見つけて欲しいと願う人間を

僕は救われたいという願望に囚われすぎていて

同じ人間を捜す事に どうも無頓着になっていたみたいだ

利己的かもしれないけどさ

その時 救いたいという欲求が勝ったんだよ

初めて、勝ったんだよ

僕は自分の身を抛ってまで

救いたいという思える人間に

君という存在に 初めて出会えたんだ

だからもう、思い残す事は無いよ

我慢もしなくていいよ

我慢してる振りもしなくていい

僕達は、僕達のままでいればいい

君は君のままで、僕は僕のままでいればいい

そんな在り来りな事を言い合ってさ

馬鹿みたいに笑い合えればいいよ

たったひとりの、味方になるから

次は本心から笑える、そんな気がする

君という不自由が

僕にとっての幸福だという事実を抱えて

君という不自由

君という不自由

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-10-25

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