私という悪夢
自分の影に怯え
決して切り離せはしないその影に
戦慄した一疋の獣が
吠える
おれは何かに憑かれていると
誰かに呪われていると
そう 信じ込むのである
信じることと信じ込むことは僅かに異なる
この差異がおのれの裡に
奇怪な幻影を映すのである
おまえは自分に憑かれているのである
自分で自分を呪縛しているのである
そんな事も露知らず
幻影に魘される獣が 吠える
自分という存在に 慄く
生きる為には
影と向き合い 目を合わせ 対話を重ねる外あるまい
影を直視できないまま
一疋の獣は一疋のまま
いつまでも吠えつづけている
自分という名の悪夢から
醒めずにいるばかりである
私という悪夢