私という悪夢

自分の影に怯え

決して切り離せはしないその影に

戦慄した一疋の獣が

吠える

おれは何かに憑かれていると

誰かに呪われていると

そう 信じ込むのである

信じることと信じ込むことは僅かに異なる

この差異がおのれの裡に

奇怪な幻影を映すのである

おまえは自分に憑かれているのである

自分で自分を呪縛しているのである

そんな事も露知らず

幻影に魘される獣が 吠える

自分という存在に 慄く

生きる為には

影と向き合い 目を合わせ 対話を重ねる外あるまい

影を直視できないまま

一疋の獣は一疋のまま

いつまでも吠えつづけている

自分という名の悪夢から

醒めずにいるばかりである

私という悪夢

私という悪夢

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-10-24

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