淡い光のその先に

遠くの遠くの遠くから

淡い光を放つものがある

夢に見た誰かの背中を

かたどっているようにも見える

いつか それに振り回されたような

酷く 振り回されたような気がする

出会わなければ

生涯知ることのなかったであろう感情を

することのなかったであろう 空想を

諍いを、嫉妬を、煩悶を、期待を、失望を、後悔を、

そして

偽りのない涙を流すことを。

輪郭を失い 偶像になった君が

同様に輪郭を失い

偶像になった僕を眺めている

互いに小さくなる背中を 見送っている

淡い光を放ちながら

新しい風に撫ぜられながら

遠くの遠くの、遠くから。

淡い光のその先に

淡い光のその先に

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-10-23

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