ハンドクリーム

ラベンダーやら
ローズやら
手から漂う
強い香りのもの

昔遊んだ原っぱの
クローバーに咲く花のような
香りが一番好きで
使い終えて
店が潰れて
買い損ねて
ニベアなど
つけていた

どこか
所帯的な香りの
それも使い終えた

私は
いつしか無臭のものを
使うようになり
何の香りも
漂わせなくなった

無臭のそれは
私の内側を匂わせ
甘く清々しく濃縮され
一人で私は
香りの強さに 
むせる

ハンドクリーム

ハンドクリーム

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-10-21

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