追想から

随分と身軽になったものだ

然し こうして歩いていると

不意に昔の躰が

心が懐かしく思われるのは

私の秩序に 正しさに

背いていやしないだろうか

そもそも私の秩序とは

正しさとは

一体何であっただろうか

霞がかったような懐かしさだけが

ただそこにある

私は躰が身軽になっても

いつかの情景に 今も小さく

小さく恋をしているばかりだ

追想から

追想から

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-10-20

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