本になって

本になって

今日食ったものが命へと反映されるなら、お金をだしていいものを食べようとするのが道理だけれども、コスパ重視で選んでるところからすると、きみにとって命はそれほど大切でないのかもしれない。購買の揚げパンはちょっと油くさいから嫌いだ、と何もかもが空回りして、モルモットみたいに見えた。きみはまだ一年生だから、地球の裏側を見たことがない。
マンハッタン地区の中心で、中指がそそり立っています。
今この瞬間でさえも、哲学はきみの体から乖離している。きみはそれを放課後だけ残念がるけど、いったんスマホを手に取るとそんなことどうでもよくなる自分に、自分のことだけどあこがれている。ささくれを剥がしたときに出る血は、海と地面の味がした。それをはっきりと認識したいなら、もう人類みんな本になるしかないね。四角くてつめたい本になって自己満味わうしかないね。裁断されるほかないね。ささくれもへったくれもないね。後輩に対し面倒見の悪い、快楽主義の、ぼくの答えはそれだけだ。ほら、きみの体はもうすでに本になりつつある、四角くなりつつある、揚げパンの味を思い出さない、裁断されてうすくなっていく、裁断された軽薄さだけが積み重なって分厚くなっていく、とうとう本になってしまった。(21世紀という空白)いつか来たる焚書のときには、ぼくがきみを手にとって、活版印刷が発明された時代にタイムワープ。

本になって

本になって

もう人類みんな本になるしかないね。四角くてつめたい本になって自己満味わうしかないね。裁断されるほかないね。ささくれもへったくれもないね。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-10-17

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