バックパッカーについて
バックパッカーについて
小学生たちはいつでもつまらなさそうな顔で授業を聞いていた。ぼくにもそういう時期はあった。どうか、どうか、夢を、希望を――押し付けないでください! 立派な一つの命であるこのぼくが迫りくる白線と点字ブロックにせかされるのは、すっごく無惨で無様で不格好だ。
十代は、この身一つの軽装備でどこまでいけるかのチキンレース。
音圧が迫ってくる。圧縮されて鼓膜に入り込む。放射線が燃えるように広がる。ぼくは絶叫した。喉から声が出ない。それなのに現実では毛布の下でサプリメントをぼりぼりと噛み、いつかどこかでまた彼女と会える日を楽しみにして一世紀が過ぎるよ。朝なんてきてほしくない系の震えを見過ごさないといけないね。石油になりたいけど火はつけられたくない。見放されていたい。そういう願望が一番厄介だ。蛍光灯の白さがいやになって、でもラップトップのブルーライトには耐えられた。なんだかんだ言ってセブンイレブンのサンドイッチは美味い。地下鉄がホームに入ってくるとき体ががくんと揺れるけど寝てるわけじゃないし、自発的に飛び込むわけでもない。そういうことだけでいいんだよ。お前はもうどこにも行けないし、お前を好きな人なんてどこにもいない。お前はもはやバックパッカーですらない。
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