震えて眠る

先日このようなことをアメブロに書いたんですけど、話にしたかったんでしました。

朝カレーがいいという話が流行ったのはもう何年前だっただろう。その流行が回り回って、土星やら天王星海王星果ては冥王星のほうまで回り回って、いよいよ私の元にも訪れた。
「今日は朝カレーにしたら頑張れる気がする」
その日の朝、私はそんな事を思いついた。オラクルで降ってきたとしか思えないような急性ぶり。アルコールだったら急性アルコール中毒でも起こして泡吹いてぶっ倒れるくらいの急性さ。救急車呼んで3分で来ても助からないくらいの急性。大きく縦に割れるカーブみたいな。

朝カレー。
「・・・」
外を眺めると、今にも降り出しそうな空模様。いやもう少し降ってる。

家から少し行ったところに、自転車で10分程度走って外環自動車道の道渡った先にすき家がある。

そこに行けばカレー食べれる。

「カレー」
今日朝カレーを食べたら、頑張れる気がする。いろいろ出来るような気がする。他人が書かないような話も書けるような気がする。新しいという意味ではなくて、敬遠されて誰も書かないようなものをかけるという意味で。

書きたい。

カレー。朝カレーでそれが出来るような気がする。

それでも決心がつかずうかうかしていると、雨が少し勢力を増した。
「悪球打ちだ私は」
んで結局、気のせいではなく確実に降り出してから外に出た。雨の中すき家に自転車を走らせた。

すき家ではテイクアウトでカレーを注文した。あとなんでか自分でもわからないけどチーズ牛丼も注文した。朝牛丼っていう感じでは別にないし、牛丼を食べても何が降ってくる気もしなかったけど、でもチーズ牛丼も注文カートの中に入れていた。チーズ牛丼の魔力に捕まったとしか思えない。

「いよおおし!」
そして、いよいよ本降りとなった雨の中自転車を漕いで家に帰った。

カレーとチーズ牛丼と店員さんは気を使って分けて袋に入れてくれたが一緒にした。カレーの上にチーズ牛丼。そんでそれをさながらキキが運んだニシンのパイみたいにして自転車を漕いだ。ここだけの話その際自転車は片手運転になってるのでブログに書くとまずい事になる。自転車危険運転の罰則は昨今高くなった。だからブログでは書けない。ブログに昔の軽犯罪を自慢げに書く人みたいになる。だからご容赦願う。これはここだけの内緒だ。

「いひ、いひひいっひ」
ただとりあえずその時そんなことには構ってられなかった。頭にもなかった。その時あったのは朝カレーと朝カレーを生贄に捧げて召喚するハイレベルのモンスターの事。それで頭がいっぱいだった。遊戯王みたいな感じ。

折しも11月締め切りの破滅派の合評会作品の事もある。それだってうまくいけば今日何か出るかもしれない。アイデアが出るかもしれない。降ってくるかもしれない。親方!空から女の子が!まるでシータみたいに。

雨は強さを増していた。メガネにも水滴が付きまくってプリズムを起こしてた。しかしもはや視力には頼っていない。心の目で見てる。心の目で見て、ニシンのパイ方式で抱えて、雨の中、朝カレー。朝カレーからのデーモンの召喚。高レベルモンスターの召喚。

「レッドスネークカモン!」

家に到着した。びしょ濡れのままキッチンのシンクで手を洗いうがいをした。

よし!
「カレーだ!」
そんで、すき家の袋開けた。

カレーは全部こぼれていた。

「はあああああ!」
だから店員さんわざわざ袋分けたんですねええ!

その瞬間、密室殺人のトリックが分かったみたいに、天啓みたいに店員さんのやった事の意味を理解した。

すき家はとても素晴らしい会社です。ゼンショー?ゼンショーホールディングスはとても素晴らしい会社です。それだけは誤解無いようにお願いします。

愚かなのは私。たいていの場合利用者の理解の無さがそのような悲劇を生む。

私は袋とかカレー容器の底とか、チーズ牛丼の底とか、
「ずちゅ、ずちゅううう」
それらをくまなく舐った。

最後はビニール袋も食べる勢いで舐った。

怒りで体がガタガタと震えた。誰に対しての怒り?もちろん自分だ。

目が回るくらい自分に対して憤怒の感情が込み上げた。

ビニールまで舐って食欲は減退したが、その後チーズ牛丼も食べた。全て綺麗に平らげた。

それから急激に眠くなって横になった。

すぐ隣にいたんじゃないかと思う睡魔があっという間に全身に廻った。

その際もまだ体はガタガタと震えていた。

「犯人に告ぐのバッドマンも巻島警視に言われたときこういう気持ちだったのかな」

今夜は震えて眠れ。

体はガタガタと震えた。留まることを知らない。まるで自分がデーモンにでもなってしまうんじゃないかと思う位。

震えて眠る

震えて眠る

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-10-12

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