赤いカタマリ

赤い小さなカタマリの 山

店先にあった
赤い赤いまるいモノ達

積まれたリンゴ

皮のまま
食らいたくて
一山買う

ナイフに抗うような かたさ
私の口に運ばれる 一切れ

思いの外酸っぱくて
私は気が遠くなる

おいしくはない
しかし美しい

飾りものになった食物
赤に慰められる私

夜 波に埋もれるように
眠りに落ちる時
赤いカタマリが
一つ 転がる

私の夢の中にしのび込む
酸っぱさ

私はやや赤色に染まる
心は沁みやすくなり
センチメンタルな世界へと
進出する

夢の中を紅色が転がっている
胸に出来たカタマリは
私を色づけ続ける

赤いカタマリ

赤いカタマリ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-10-10

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