赤いカタマリ
赤い小さなカタマリの 山
店先にあった
赤い赤いまるいモノ達
積まれたリンゴ
皮のまま
食らいたくて
一山買う
ナイフに抗うような かたさ
私の口に運ばれる 一切れ
思いの外酸っぱくて
私は気が遠くなる
おいしくはない
しかし美しい
飾りものになった食物
赤に慰められる私
夜 波に埋もれるように
眠りに落ちる時
赤いカタマリが
一つ 転がる
私の夢の中にしのび込む
酸っぱさ
私はやや赤色に染まる
心は沁みやすくなり
センチメンタルな世界へと
進出する
夢の中を紅色が転がっている
胸に出来たカタマリは
私を色づけ続ける
赤いカタマリ