蜘蛛とわたし

大きな蜘蛛を一匹殺した
スプレーを吹きかけて一匹殺した
蜘蛛はしだいに弱っていき、遂には動かなくなった
長い脚を自然に広げたまま、最後にティッシュの上で動かなくなった

自分を殺そうとした
夜に誰も来ない場所に行って首を吊ろうとした
腰に巻いたベルトを外して、傍の大きな木に引っ掛けて吊ろうとした
うまく吊れなかったので、その日も最後に諦めてしまった

大きな蜘蛛に憐みを抱いた
死のうとする自分に殺された蜘蛛が可哀想になった
蜘蛛はまだ生きたかったかもしれない 家の中を闊歩したかったのかもしれない
死を望む自分はまだ家の中でうずくまっている 立ち止まったままだ
僕は蜘蛛を庭に埋めようと思う

蜘蛛とわたし

蜘蛛とわたし

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-10-05

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