ロストアンブレラ
それに気付いた時
私は引き返すだろうか
それとも気付いてない振りをして
そのまま進んでいくのだろうか
どちらにせよ 気付いたことに変わりはないのだろう
埋めるものがなくなり
穴が拡がっていくことではじめて気付く
今さらのように気付く
そこは私にとって 唯一の居場所だったんだな、と
散々泣いた後にそこにある景色は
物足りないはずなのに
その物足りなさが私には愛おしかった
もう元の姿には戻れない私が
空想のあなたを抱きしめている
空想の私が 誰かの景色にただ溶けていく
ロストアンブレラ