ロストアンブレラ

それに気付いた時
私は引き返すだろうか
それとも気付いてない振りをして
そのまま進んでいくのだろうか
どちらにせよ 気付いたことに変わりはないのだろう
埋めるものがなくなり
穴が拡がっていくことではじめて気付く
今さらのように気付く
そこは私にとって 唯一の居場所だったんだな、と

散々泣いた後にそこにある景色は
物足りないはずなのに
その物足りなさが私には愛おしかった
もう元の姿には戻れない私が
空想のあなたを抱きしめている
空想の私が 誰かの景色にただ溶けていく

ロストアンブレラ

ロストアンブレラ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-10-05

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