中途半端

 朝起きながら 夜眠りながら 昼ぼんやりしながら
 フレークを噛みながら 靴紐を解きながら 枕を引っ繰り返しながら
 本を積み重ねながら パソコンを叩きながら 引き戸を開けながら
 雨雲をなぞりながら 頬を腫らしながら 汚泥の匂いを嗅ぎながら
 「ながらながら」と笑いながら

 どこかへ どこにも いつか いつまで 不明 無名 夜明けの未明

 内臓の血を吐き出しながら 屋根の上を歩きながら 山羊を轢き殺しながら
 飛行機を描きながら 廃材置き場を眺めながら ラジオを聞きながら
 地面に這いつくばる練習をしながら 錨を投げながら 石ころに化けながら
 終幕の時間を数えながら 電子レンジを壊しながら 百足と喋りながら
 「ながらながら」と喚きながら

 誰だか 誰でも なんだか なにも 不安 草案 意味なく晴れ

 いつかの冥王星を夢見ながら 虚偽を考えながら オナニーしながら
 「ながらながら」と泣きながら

中途半端

中途半端

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-10-01

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