自選短歌 2020年9月
難しい顔をしないでひねるのがコツだと思う瓶の蓋開け
秋の蚊は振り払う手をよけられずそのまま落ちて死んでしまった
この道を向こうへ行ってあの角を曲がってからの彼は知らない
この橋を渡れば違う町だった渡らないまま引っ越していく
備考欄で頼んだことをしてくれて少し性善説に傾く
夕焼けに「無題」と付けて飾ったら大人が意味を語り始める
シャングリラへみんなは船で旅立ったわたしは本を読むほうが好き
「ドラえもんになって一首」
(ゼロ歳の頃ののび太と出木杉をすり替えちゃうという手もあるな)
自選短歌 2020年9月