徒花
季節の変わり目に
変われないでいる自分がいる
夕焼けに雲がたなびいている
くたびれた心に
なにかがまとわりついている
そのなにかがわからないまま
ただぼんやりと歩いている
坂を越え 曲がり角に差しかかると
くすんだ花が悄然とうなだれていた
まるで似た者同士だ
私はそれを目に焼きつけた
二度と見ないだろうその花に
私と同じ名を与えた
「ああ、お前も間違えてしまったのか」
然しそれは見方によっては
美しい過ちのように思えた
「咲く場所を間違えても、時期を、時間を間違えても、誰かが見つけてくれるから」
くたびれていたはずの私の心は
不思議と晴れやかになっていた
枯れる理由はあっても
枯らす理由はどこにもなかった
咲く理由があっても
無理に咲かす理由がないように
そよ風が視界をゆらす
わたしはつまらないものに
いつまでも生かされていた
徒花