徒花

季節の変わり目に

変われないでいる自分がいる

夕焼けに雲がたなびいている

くたびれた心に

なにかがまとわりついている

そのなにかがわからないまま

ただぼんやりと歩いている

坂を越え 曲がり角に差しかかると

くすんだ花が悄然とうなだれていた

まるで似た者同士だ

私はそれを目に焼きつけた

二度と見ないだろうその花に

私と同じ名を与えた

「ああ、お前も間違えてしまったのか」

然しそれは見方によっては

美しい過ちのように思えた

「咲く場所を間違えても、時期を、時間を間違えても、誰かが見つけてくれるから」

くたびれていたはずの私の心は

不思議と晴れやかになっていた

枯れる理由はあっても

枯らす理由はどこにもなかった

咲く理由があっても

無理に咲かす理由がないように

そよ風が視界をゆらす

わたしはつまらないものに

いつまでも生かされていた

徒花

徒花

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-09-30

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