瞬き

星が落ちてくる
誰にも看取られることのなかった
朧げに輝く 小さな星が落ちてくる
あの星に殺されたい、そう思った時には
わたしはそこに向かって駆け出していた
心臓が高鳴る それが頭に谺する
走れば走るほど全身が痺れる
まるであの星が こっちに来るなとでも訴えているかのように
足が縺れて何度も転んだ 血を流した 自分の熱で頭がのぼせた
それでも追い続けた 立ち上がっては無心になって追い続けた
星に追いつく頃 どこかから囁きかけるような声がした
わたしはその場に倒れ込んだ 空を見上げて力無く笑みを浮かべた
刹那、小さな星はわたしに衝突した
目を醒ますと わたしは星の海を揺蕩っていた
笑い声が聞こえた きっとあの星だろうと思った
わたしもつられて笑った わたしはこの空で あなただけを知る星になった

瞬き

瞬き

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-09-29

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