砂糖とミルク

高校に入学するまえの春休みの
まださむい 晴れた日の七里ヶ浜で
わたしのやさしくて聡明で
悪夢障害のオーレリアンは
昨夜みた夢と好きな花と
いままでの人生でいちばん
うつくしかったときのはなしをしてくれました
十五歳のわたしはいまも
記憶のなかの海辺を歩いていますが
夕日もうすもも色の日々も
こころのなかのさびついた鉄球も
海には沈んでくれません
思い出してください
ずっと昔
紅茶に砂糖とミルクを
たっぷりといれていたころ
わたしたちは波のまにまにただよう
ひかりの蝶でした

砂糖とミルク

砂糖とミルク

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-09-29

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