透過、再生

もう偽ることなんて何もない そう悟った時の

あの清々しさを 浄化されていく感覚を

もう一度味わいたい もう一度だけでいい

あらゆる虚飾から それによる不安から 欺瞞から 葛藤から 後悔から

僕を縛りつけ 苛むすべてから解放された時

いよいよ僕は 自分の脚で

ふたたび歩き出せるような そんな気がする

その時、目の前にひろがる風景を

この目でもう一度 確かめたいと思う

歩いた果てに何があるのかを

この目に焼き付けたいと思う

伝えたいことがあって、伝えたい相手がいて、

伝えたいことを 潤色することなくそのまま伝えて、

それがその人に そのまま伝わるということ

そんな一つの可能性に 僕は生かされていたはずだ

早いな、と思う

死ぬにはまだ、早いな

透過、再生

透過、再生

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-09-27

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