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うちのは取れてた

そんなに昔の話でも無く、ごく最近の話です。

ある男が自分の荷物一切合切もって山に入りました。その山を越えた先に男の引っ越し先があったのです。

大きなものはあらかた引っ越し業者の日付指定で運び出してもらいましたが、どうしても一箱分足りずそれを梱包して荷物に加えるかどうかで、トラックが4トンか4トンワイドに変わって料金も変わるのでした。

そのため男はそれを一切合切カバンに、ラピュタの歌みたいに詰め込んで運ぶことに決めたのでした。

山を登っていくとあっという間に辺りは暗くなり夜になりました。不安に感じていると前方に一軒山小屋があるのを見つけました。

「今日はここに泊まるか」
山小屋の前には焚火の残骸みたいな跡もありましたし、ライターもありましたので適当にその辺から小枝などを拾い集め、メモ帳を一枚ちぎってそれに火をつけ火だねにして、火をおこしました。

まだ初秋でしたし、去年末に実家近くのユニクロで購入した着れる毛布があったので一泊位はまあ、うん。食べ物はお菓子がありましたし飲み物も一応持ってましたので、とりあえず何とかはなりそうでした。

「・・・」
夜の帳に包まれた山の中で、男は一人焚火の火を見つめていました。

すると闇につつまれた木々の合間から、がさり、という音が聞こえ、得体のしれない姿をした化け物が這い出して、男の対面に座り火にあたり始めました。
「こいつはいったい?」
男がそう考えると、

「お前は今、こいつはいったい?と考えたな?」
と言いました。

さとりでした。そういう昔話を子供の頃に聞いたことがありました。さとりの化け物でした。

「心を見透かす奴じゃん」
男が思うと、

「お前今、心を見透かす奴じゃんって思ったな?」
さとりが心を見透かして言いました。

「やべーじゃん」
「やべーじゃんって思ったな?」

「この話大丈夫なの?著作権的な事は大丈夫なの?」
「この話大丈夫なの?著作権的な事は大丈夫なの?って思ったな」

さとりは綺麗に男の心を見透かすのでした。

もう関わってはいけない。男はそう感じて本能的にさとりから視線をそらしカバンの中を探り、PSVitaか3DSLLをやろうとしました。

しかし、どちらも入っていませんでした。

入っていたのはPSPでした。

PSPを荷物に入れたつもりが荷造りで焦っていたからなのかPSVitaと3DSLLを入れていたようでした。

仕方ない。男は久々にPSPの電源を入れました。しかし起動しませんでした。

裏返してみると電池パックのカバーの部分が少し浮いていました。

そこを触ると勢いよく中から電池パックが飛び出し蓋が射出され、それがさとりの眉間に当たりました。

「ぎええ、人間は思いもよらないことをする。おっかねえおっかねえ」
さとりはそう言うと暗闇の中に逃げて行ってしまいました。

「ふー」
男はどうやら助かったようでした。PSPの膨らんだ電池パックと、蓋を回収し全部カバンにしまい込み、さとりが消えていった方の暗闇を少し眺めました。

しかしなあ、

どうしてなあ。

「古明地さとりじゃないんだろうなあって思ったな」
暗闇からさとりの声が聞こえました。

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  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-09-26

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