世界が変わる

今日、およそ一年ぶりにあの人と連絡を取り合う機会があった。
とはいっても、私情からではなく、業務上致し方なくといった感じで、仕事の内容のやり取りだった。
部署も担当地域も違うため、このようなことはイレギュラー。

必要あっての連絡。何も不自然ではない。

それでも、いざメールを送るとなると手が震えて、緊張から腹痛がした。
冷たくされたらどうしよう…とこわかった。
特別な気持ちがまだあるのだと、思い知った瞬間だった。

渦巻いていた不安は杞憂に終わり、とても親切丁寧な返信を頂いた。

あの人はつい最近、退職したそうだ。
こうして連絡を取らなければきっと知らないでいた。
知った時、目の前が真っ白になった。
運転しなければならないのに、ほとんど無意識で移動していた。

同じ会社で働いていればいつかまた再会できる…
去年の今頃は淡い期待があったけど、最近ではそれも薄れてきていた。はずなのに。

会いたい。
声が聞きたい。
せめて友達になれないかな。
もう二度と会えないの?
出会えてよかった。

色々な想いが交差し、胸を締め付けた。

涙が出た。
少しだけ泣くはずが、しばらく止まらず流れ続けた。
思っていた以上に、気持ちが依存してしまっていた。

よく知りもしない幻想に恋していただけかもしれない。
つらい時に優しくしてくれたから好きになったつもりになってるだけかもしれない。
こんなの片思いでもなんでもなく、ごっこ遊びな感情なのかもしれない。

泣いてしまうほど寂しい感情の理由を、いくつも思い巡らせる。

こんなに泣いたのはいつぶりだろう。
離婚届を書いた日だったか。

想像以上に、自分の中で大きくなってしまったあの人の存在が、ある。

この痛みが、涙が、いつか癒えますように。
悲しみだけで残りませんように。
素敵な思い出にできますように。

今日、世界が変わった。
昨日までと同じ世界に生きているのに、自分の中身が入れ替えられたかのように感じる。

変わらず優しくマメな文体が、とても嬉しかった。
あの人の笑顔や、一緒に仕事していた頃を思い出して…。

自分でない自分を見つけた。
それがいいことなのか、悪いことなのか。
今はあまり考えたくない。

会いたい。
せめてもう1回だけ。
未練たらたらだ。

世界が変わる

世界が変わる

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-09-16

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