俺の絵

あいつムカつくな。
健二は同じクラスの朋子に腹を立てていた。朋子は健二の物を自分の物のように使う。健二の事を顎で使う。健二の事を小馬鹿にしている。
「健二〜!コーラ買ってきて!美代ちゃんの分もね!」
この前の放課後のことである。
俺らは高3。みんなも俺も受験勉強で忙しいのにあいつは俺のことこれっぽっちも心配してないのか……。この際ハッキリ言っておこうと思った。
「もういい加減飲み物ぐらい自分で買って来いよ。俺だって志望大学ギリギリで忙しいんだから!」
「いいじゃん別に。飲み物買ってくるくらい……。」
「その買ってくるくらいっていう言い方も気にくわねぇの!俺は絶対買ってこねぇからな!」
「分かったわよ……。」
朋子はすねたように友達の美代と一緒に自販機にむかった。
俺はよく分からない罪悪感もあったが、スカッとして、自分のやらなきゃいけない課題をやっていた。
俺の行きたい大学は美術科の専門学校。絵描きになりたかったんだ。
毎日デッサンを積み重ねては新しい作品を作っていた。
朋子たちが帰ってきた。俺のことは無視するつもりかな?


でもふと思うこと、それは俺の人物画が、いつも朋子に似てしまうってことだ。

俺の絵

俺の絵

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-11-15

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