希死念慮

 真夜中にがんがんがんがん金槌の音
 うるさくて眠れやしねえ

 サボテンの花が咲かないからって泣くな 泣くな
 せめて笑え せめて笑え
 どうせ明日には海の残滓

 今度はかんかんかんかん火打ちの石の音
 やるなら来年の晩にしてくれねえか

 「さあさあ 死にたがりどもめ 今日も踊れ
  鳩の尾を血眼で追いかけながら」

 今何時だ 開くのは十時だ
 おれは無法者ではねえんだよ おれは無法者ではねえんだよ
 七色の錠剤はどっかいった ついでに保険証もどっかいった
 ユーカリの花が咲かないからって泣くな 泣くな
 せめて笑え せめて笑え
 どうせ明日には天の藻屑

 「さあさあ 死にたがりどもめ 今日も踊れ
  霧のような雨にいつまでも打たれながら」

希死念慮

希死念慮

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-09-15

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