飢渇

渡逢 遥

一筋の光を みた

雲間から差し込むそれを みた

俺は

俺はそこに向って 走り出した

無心になって 泥濘の地を駆けた

光は 俺と 同じ速さで

同じ速さで 遠ざかっていった

俺は 狂っていたのだ

縋れるものならもう 何にでも縋りたかった

俺を生かしてくれたのは 他でもない

幻に みずから誑かされにゆく

俺自身の 狂気だった

飢渇

飢渇

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-09-12

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