秋風

マチミサキ

子供の頃に
山の中で住んでいた家は
お風呂が母屋に無くて
別棟だったのですが

いま思えば
なかなか風情のあるお風呂でした。

靴を履き
着替えを持ってお風呂へ向かう。

嵌め込まれた薄いガラスの向こうに
見えるのは雑木林で。

お風呂用の薪にも
この一帯に幾らでもある木を使用。

山の中ではありますが
几帳面な祖母の手により
いつもお風呂場は清潔そのもの。

最初は鐘を逆さにしたような
五右衛門風呂でしたが
改装後は
湯船も広くなり
二段階の深さになっている
タイル張りでした。

浅い方に腰を掛け
ゆったりと寛げる。

今では
まず考えられ無いであろう
とても贅沢なお風呂でしたね。

暑い暑いアタイ暑い

言ってても
こうして
ベランダに出て身体を撫でる風は
完全に
季節の移り変わりを感じさせる

否応なしに。

秋はとても美しい。

風景を黄金に染め上げる銀杏
紅蓮に燃え上がるような山の紅葉
街に蔓延る無計画により
伸びきった手付かずの雑草も最早ここまで。

花梨でも取りに行きますか。

カリンは
この世で最も良い香りのひとつ。

私にとってですが。

甘い芳香は

しつこくなく
べっとりでもない

カリンでしかない
独自のもの。

しかし
あれだけの香りにも関わらず
生ではとても食べられない。

加工しても
まあ・・・

美味しい、と言い切るのは私にはちょっと。

カリンは芳香材。

お部屋にカリンをひとつ置くと
とても気分が良い。

この香りが超1級だから
それで良い。

でも
外に置いておくと
蟻が集るのですよね。

あんなに渋いのに。

やはり糖分はあるのでしょうか。

同じ木になる果実でも
ザクロの実なんかは
木に生ってるときから
蟻がめっさ集ってますよね。

あー、
イチジクもそろそろですか。

知人がイチジクを大量に栽培していて
沢山くれたりしますが
そんなには食べられない。

美味しいですけど
味の好みなら
葡萄のほうが良いな。

葡萄は美味すぎ。

この世界で1番美味しいものの
ひとつだと思う。

高価な高級品種も流行っているし
そういうのも美味しいけど
昔ながらの素朴なデラウェアも好き。

柿も悪くないけど。

あと
秋は人が少なくなった公園で
落ち葉舞うベンチに腰掛け
スキットルに入れた
ウィスキーをちびちびやると
すごく美味しい。

たとえ
寒風が吹き荒ぼうと平気な
完全防備で。

大丈夫、
山装備で立ち向かえば
公園の寒波程度。

むしろ寒すぎるくらいのが美味しい。

小雨が降ればなお良し。

誰も居なくなったとこで
雨などもものともしない
完全防備で
ひとりウィスキーを楽しむ。

ハムかビーフジャーキーがあれば
さらに良いかも。

ミックスナッツも良いな。

あと
秋の楽しみ・・

栗も良いですね。

ただ茹でただけのを
ふたつ割にして
スプーンでほじる。

うーん、
あと・・

ああ、
ファッションセンスがあまりにも
明確にでますか。

可愛い、と言いますか
格好良い娘がたまにいますね。

去年みて
おお!
と思ったのは
ハリーポッターの世界から
抜け出してきたようでいて
コスプレ感がない
20歳くらいの娘。

あの人は良かった。

あ、
今年はあの風景も久しぶりに
見に行ってみますか。

私のとっておきのひとつ。

まるで
絵本みたくなる場所があるのですよ。

天然の並木通りみたくなってて。

パステルよりもうちょっと鮮やかになった
ような
暖色系の紅葉した立木が延々と並ぶ

もうそのまま名画みたくなってまして。

なんか現実感がまるで無い景色。

ちょっと凄いですよ。

あそこに行くときは
ホカ弁を持っていくのがお約束。

なんですかね
ホカ弁とこの景色が
素晴らしくマッチして
生きている喜びを感じる。

食欲も増し増しになるので
この際には
是非
海苔弁+ナポリタン小パック+カジキ煮付け

を持っていきたい。

ナポリタンと煮付けは
運が良ければ
そこに向かう途中の
チェーン店ではない
ホカ弁屋さんのお惣菜コーナーにあります。

これがまた美味しい。

ナポリタンが200円くらいで
カジキはひとつ150円。

あの場所で
お弁当に合わせるのは
お酒よりお茶。

熱々が望ましい。

その帰りに
ムカゴを拾って帰り
塩茹でにしてたべる。

ギンナンは臭いから要らない。

不味くはないけど
そこまでして食べるほど
好みではないので。


とにかく
秋はひとりがとても楽しい。

秋風

前の住居で飾っていた
油絵の風景画があります。

いまは
仕舞ってありますが。

某国にて
購入したもので
高級品ではない、
と思います。

誰が描いたものであるかも
タイトルさえも知らない。

ただ一目で気に入り
言い値で購入。

安っぽい額に入れられていた
その絵画は
とてもホッとするような
不思議な絵で。

山深い川沿いの峡谷の底に
ただ一件佇む
薄暗い中に窓の灯りが暖かく漏れた
小さな家からは
夕飼の用意らしき煙がひとすじ
立ち上っている

そんな風景画です。

秋風

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-09-12

Copyrighted
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