秋の短歌
台風の後の嵐の置き土産
夕焼け覆う黒い横雲
中秋の雲に隠るる名月に
晴れぬ心の憂さをこそ見れ
中秋を過ぎて残れる蝉の声
友なき時に出づるさみしさ
平日の人も少なき公園の
湖畔に休むかるがもと僕
放課後に基地を作ったあの山へ
帰れるような萩のトンネル
秋萩やなどてもたれて道塞ぐ
その花のみぞ人をとどめむ
ことならばスーパー台風疾くに来よ
今夜帰らん君を帰すな
宿なくし我が家に避難する蟻よ
しばし留まれ我を登るな
新しきものを得るほど我が心
感動をただ消費している
光彩を散らばすようなこう葉が
大空いっぱい散って流れて
奥山の落ち葉の隠すどんぐりを
拾う幼き僕に会う秋
秋の短歌