生者の孤独

あおい はる

 掌から星々が零れて母なる海に還るよ朝が来ない。実験室に囚われたモルモットのように怯えてる君がみた幻の町に放射する誰かの慈愛が静かに燃える。蜃気楼。夏の終わりに埋葬した向日葵になまえをつけたのはきまぐれできまぐれとは残酷だった。真っ白いピースのパズルを完成させたときの達成感に付随する空虚を僕はうやむやにしてギターケースに滑りこませた八月の最期は十二か月のなかでいちばん儚いね。九月が訪れた途端に薄くなる酸素と冷えてゆく肺。君がみていた世界の輪郭がどろりと溶けだしたとき肉色の液体が灰色のビルをのみこんで無機物の終焉。いきものたちはどんな形になろうともいきていることを知った瞬間に射し込んできた孤独に僕らは苛まれる。

生者の孤独

生者の孤独

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-09-11

CC BY-NC-ND
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