ふたなりオラオラ貧乏娘のバイトデイズ

虚文学 純

宮奥 雪は、十五歳。私立のお嬢様校である宮奥女子学園に特別枠で在籍させてもらっている孤児である。
赤ん坊の時に、校門の前に捨てられていたのを見つけられて以来、孤児院的な性質も併せ持つ学園にて養われてきた。
特別枠の孤児達は、最低限の生活費は支給されるが、学費はアルバイトをして支払う義務が課せられる。アルバイトは学園が用意するが、決して社会に出るための練習のような甘いものではなく、しっかりと教師や生徒の益になるような本格労働である。
雪も、毎日勤労に励んでいる。彼女がやっているバイトは、オナニーショーであった。

放課後。寮の一室。上級生の部屋で、今日も雪はスカートをたくしあげ、パンツの中をあらわにして見せている。彼女はいわゆる両性具有で、クリトリスが肥大して男性器状になっている。それが熱く膨らんでそそり立っているのを、小さな手でけなげにしごき続ける。
「ふぅ、ふぅ………」
乱れる吐息を抑え、美しい顔は無表情。まだ幼さの残る股間を夢中で見つめる高等部の先輩。雪と違って裕福な両親に大切に育てられてきた幸せなお嬢様である。何もかもに恵まれてきたけれど、年頃になってわき上がってきた肉体的欲求を自由に発散することはとても出来ないお上品な人達。そうした淑女達に、学校公認の性的娯楽を与えるのが雪の仕事である。
先輩は頬を染め、何度も唾を飲みこみ、うっとりと満たされた顔をしている。雪は終始、氷のように冷めた顔。恥じらいも他の感情も表に出さず、ただ見世物の人形を演じている。
クールなまま、目をつむって射精。これ以上なく甘美な笑みでとろけそうな先輩の前で、雪は力無く床にくずおれた。そして、一言。
「じゃ、お会計三万五千円。」
先輩はうろたえていた。
「うち、親がそんなにたくさんお小遣いくれないから、そんなに取られると困っちゃうというか………その、支払いを来月に出来ないかなあ?」
「は?出来ませんから。払わないとブラックリストに載せますよ?雪だけじゃなくて他の子のオナニーも二度と見れなくなりますけど?」
「高校生が性欲に勝てないのを知ってて………」
先輩は泣いて財布を取り出した。

「お金はあるから、もう一回見せて!欲求が消えてくれないの!」
部屋を退出しようとした雪を呼び止めて、更に三万五千円を出す先輩。教材購入等に必要なお金だが、燃えたぎる欲望に焼かれてなりふりかまえないらしい。
「えー、なんか先輩、必死過ぎて怖くて気持ち悪いなー。まあ、お金払うんならちゃんとやりますけどね。じゃ、楽しんで下さいね。」
再びパンツを下ろし、クリトリスをいじくる雪。
肉棒は膨張して上を向く。そして即、射精した。
壁にもたれて荒い息を抑えつつ、雪はクールに言う。
「あーあ、先輩があんまり見つめるから感じすぎちゃって十秒で出ちゃったー。ショーは射精一回で終了ですから今回はここまでー。お会計三万五千円でーす。」
完全な棒読みであった。

今度こそ帰ろうとする雪を、先輩は再度引き止めた。
「先輩もうお金無いでしょ?」
「そ、そうよ、お金なんて無いわよ。ただ、聞きたいことがあって。純粋に不思議だなって思って聞くんだけれど、いつもどうしてオナニー出来るの?オカズも無いのに一分もかかんないでイけちゃうなんて、どうしてなの?」
「それは…………」
雪は直前のオナニーショーの際に見ていた光景を思い出す。綺麗で魅力的な先輩がスカートの中をまさぐりながら甘い吐息をついている姿を。
雪は毎度、無料でオナニーショーを見物しているという不都合な事実は、当然言わなかった。

高等部の寮を出て、夕暮れの帰路で雪は同学年の生徒に声をかけられた。
「雪ちゃん、今日のバイトはもう終わり?遊びましょ!」
ポニーテールで明るく無邪気な笑顔の、子供っぽく見える少女。名前は綺羅世。庶民的なタイプだが、彼女も相当な富豪の娘である。
雪はニコリともせずに応ずる。
「はぁ?どうしてあなたの指図で遊ばなくちゃいけないの?」
「だって友達でしょー!暇なら遊んでくれてもいいじゃーん!バトミントンでもしよーよー!」
綺羅世はぴょんぴょん跳びはねながら言い募る。膨らみかけの胸や、お尻の肉が弾んでいる。雪は表情を変えずに目で追っていた。
「あなたの言うことを聞かされるのが我慢出来ないわ。わたしが命令してあなたは聞くだけでいいの。」
「あー!!」
突然、すっとんきょうな声を上げる綺羅世。その目は下の方に向いている。
「雪ちゃん、スカートの前がふくらんでるー!おち×ちんが勃起してるんでしょー!変なこと考えてるんだー!」
「違うわ。」
雪はクールに笑った。
「お仕事をしたばかりだからこうなるのよ。これが生えていない人にはわからないのね。エッチなことなんて何も考えていないわ。」
「ふーん、そうなんだー。」
綺羅世は感心していた。
「本当に不思議な器官だなあ……いっぺん見てみたいなー……」
「どんなにお金を用意してもあなたは見られないわ。残念ね。」
校則により、オナニーショーは上級生相手にしか営業してはならないことになっている。同級生の綺羅世が、雪のオナニーを観覧するのは不可能なのであった。
「雪ちゃん顔が赤いよ?熱ある?」
「いいえ平熱よ。今日はわたしの部屋で服の着せ替えごっこをしましょう。ついてきなさい。」

「雪ちゃんの部屋、はじめてー。楽しみー。」
特別枠の生徒の寮は、一般生徒の寮とは別館となっている。
「あまり期待しないで。あなたと違って雪は貧乏な孤児よ。与えられる生活費だけじゃまともな暮らしも出来ないし、学費も何もかも、バイトしてなかった小さい頃のぶんまできっちりローンで払わされるし、身の回りの物も自分の稼ぎで買わなきゃいけないし、光熱費も寮費も取られるし………いくらお金があっても足りない中で、ささやかに服とか家具を細々と買い揃えてる生活だから。バイト代じゃこれが精一杯よ。」
雪の部屋のドアが開けられ、綺羅世は中をとっくり眺めた。天蓋付きのベッドを種々のきらびやかな照明器具が照らす。一見して由緒が感じられるタンスや、細かな刺繍が施された海外もののカーペットやらカーテンやら。宝石が嵌め込まれたインテリアも一つや二つならず目につく。
「こんな豪華な部屋、一般寮には一つも無いよ。」

無遠慮に、雪の部屋に他の寮生が入ってきた。肩で切り揃えられた黒髪が艶やかで、育ちの良さそうなおっとりした美少女である。
「淫乱バカの雪のくせに友達なんか居たんだー。なになに?その子とつきあいたいのー?」
口を開くと途端に育ちが悪そうになる少女。背が低く、明らかに雪や綺羅世より年下であるが、すこぶる態度が大きく生意気である。
「は?何で雪がガキとつきあわなきゃいけないの?頭悪いチビは出てって。目障り。」
邪険に追い出そうとする雪。
「あー!!!」
突如、部屋に響く綺羅世の驚愕の叫び。
「この子知ってるー!!一年生で一番、高等部の先輩方に大人気の佐々焼 吐息ちゃんだー!」
黒髪少女は、華やかな笑みを浮かべ蠱惑的に胸を張った。
「フフッ、そうよ。わたしこそ、雪とこの学園の人気トップの座を競うオナニーアイドル、吐息よ!」
何を隠そう、彼女もオナニーショーのバイトをしており、本人の言う通り相当にリピーターの多い人気者なのだった。
「くすくす、雪のお友達さん?大オナニースター二人と、今あなたはこんなに近くにいるのよーお?興奮してしまうかしら?お股がびしょ濡れになってしまう?」
横から雪は冷静に指摘した。
「いや、どう見てももっと興奮してる奴がここにいるけど。」
指差す先は、部屋着姿の吐息のスパッツ。股間がテントを張っていた。彼女もふたなりである。
「こ、これは……雪がこの部屋でこっそり何をしようとしてるのかって………妄想の材料用意した雪が悪いのよ!」
「軽い妄想で随分元気ね。性欲が異常で怖いわ。サイコパスかしら。」
「これくらいの体質じゃないとオナニーのバイトなんか出来ないでしょ!」

朝。雪は、自室のベッドで一人、目を覚ます。ギンギンの朝勃ちで布団が盛り上がっている。夢精でパンツの中からぬるぬるが溢れている。
とりあえず肉棒をしごくのが日課。そのためもあってドアの鍵は寝る前に閉める。
散々オナニーを人に見せているから恥ずかしくはないのだが、日頃バイトで射精してるのに朝からこんなになっているのは他人に知られたくない、そんな世間体から寝起きオナニーは秘密にしたいのだ。
満足ゆくまで射精して、クリトリスが小さくなったら、今日のスケジュールのチェック。オナニーショーの予約が入っているかどうか、スマホを見る。
「放課後すぐに一件……高等部二年の笠原水菜先輩………あ、先月のお客ね。巨乳で笑顔が素敵な優しい人だったわね………一時間開いて次は……三年三組で十一人で予約………大人数ね……雪の周り中でおねえさま方が切ない息を洩らしてやらしい顔をするのね…………」
ふと、雪が気付くと。布団の下でクリトリスが大きくなっていた。

校舎の昇降口。登校してきた雪が、上履きに履き替えていると、吐息を見かけた。軽く引く雪。
何故なら、吐息のスカートの前が露骨にもっこりせりあがっていたのである。
「あんたさー、朝ヌイてこなかったわけ?」
吐息は嘲り顔で昂然と答えた。
「そうよ、わざと勃ちっぱにしてるの。販促の為にね!差をつけてあげるわよ雪。あなたを過去の人にしてあげる。」
特に何の感懐も示さない雪を尻目にとことこ廊下をゆく。ただし、自分の教室への階段には向かわず、高等部の方へ歩いていく。
宮奥女子学園の生徒数は多くなく、中等部と高等部は同じ校舎にある。昇降口は別々だがすぐ近くに位置していて、いつもの階段と逆方向に行けば高等部生だらけになる。
そこで、テントを張っているタイトスカートを存分に見せつけまくる吐息。周囲の目を釘付けにしている。
「先週、先輩に見て頂いたことを思い出したらこんなになってしまって………わたしったらはしたなくて恥ずかしいです………でもあの日のお仕事、とても気持ち良かったから……」
とか、
「皆さん、こちらを見ないで下さい、見苦しいので………でももし、ご不快でなければ見て下さい……わたしもその方が幸せ………うっとりしてしまいます………」
とか、ピュアっぽい感じの発言を連発。おねえさま方を夢中にさせている。
そこに雪も来た。チラッと見て思わずニヤッとしてしまう吐息。誰も雪を見ていない。周りの人気を自分が独り占めしている。
こみ上げる勝利感に純情演技が崩れてしまいそうだ。必死で聖女スマイルを維持していると、
「わあぁ、かったぁーい!」
雪がスカート越しに吐息のフル勃起肉棒を思いきり握りしめた!
媚び媚び声を甘い息とともに吐く雪。
「雪、女の子の体大好き……熱々で、おてて、気持ちいい……わあ、びくびく跳ねてるぅ……」
ギャラリー大注目。
「吐息ちゃん、すっごく気持ち良さそう。でも、廊下でお射精したら校則違反で一週間営業停止処分だよ?我慢してねっ。」
何も言えず息も絶えだえな吐息。ガクガクと壊れたオモチャのように首を振っている。
手を放すと、吐息は力無くへなへなと雪に寄りかかった。
雪はいつもの高慢な無表情に戻って言い放つ。
「生意気な後輩いじめちゃったー。」
そしてざわつく周囲を見回して鋭く言った。
「何見てんすかぁ?用が無いならさっさと散って下さいよ。」
焦ってそそくさと立ち去ってゆく先輩達。皆、顔が赤く何度も振り返って、雪に憧れの熱い眼差しを向ける。
それを一顧だにせず彼女は吐息に微笑んだ。
「あんたのおかげでまた人気上げちゃったわー。」
吐息は赤面しながら殺意にふるえていたということである。

休み時間。
校庭に遊びに行こうと、廊下を歩いている雪と綺羅世。ふと、綺羅世が後ろを向いて言った。
「雪ちゃん、ずーっと尾行してくる先輩がいるんだけど……」
「ああ、雪の常連客ね。あの人、お小遣いが足りなくてもう雪のこと買えないのよ。だからついてくるだけなの。」
「それストーカーじゃん!大丈夫?気をつけないとヤバい目に遭わされるかもしれないよ!」
「ふぅん?」
雪はツカツカと先輩に近寄り、キョドる先輩の手をがっしと掴み、引っ張ってゆく。綺羅世の前を通り過ぎ、反対側の角へ。その先には、もう一人のストーカーの先輩がいた!
雪は二人を並ばせ、おもむろに。
先輩達のスカートを思いきりめくり上げた。
お互いの下半身を見せつけられ合う先輩二人。
「あなたたち、とても綺麗で素敵。後輩よりも、身近な人の魅力に気付いてもいいんじゃない?」
雪は珍しくニッコリとして、そっとその場を離れた。背後で、
「あ、あの、とても可愛らしいパンツだと思うわ。よく見てもいいかしら?」
「見るだけなの?さわっても……ううん、脱がせてもいいのだけれど……」
「わ、わたしも……そうよ、脱がせっこしましょ!」
雪は綺羅世の方を向いて、ちょいちょいと手招きした。不思議に思う綺羅世の後ろから声が。
「あら、何かしら?」
そこには通りすがりの教師。彼女は雪の指差す方へと、角を曲がった。
「あ、あなた達、廊下で何てことしてるの!?!停学処分です!!」
雪は綺羅世を伴って校庭へ。
「簡単に処理出来たわ。」
「いいの?常連さんが二人もいなくなっちゃったけど。」
「金が無かったら客じゃないし。」

教室にて。
「寝てばっかいないでたまには勉強しなよー。」
綺羅世の言葉など構わず、雪は机に突っ伏して居眠り体勢。
「放課後のために体力残しときたいのよ。数学以外の勉強なんてしたくないし。」
「数学だけはするの?何で?」
そう聞かれると、身を起こした雪。さも当然そうに語った。
「お金の計算とか運用に必要でしょ?数学は人生の基礎よ、学ばなくちゃ駄目。でも他の教科は役に立たないし。親とか教師にしかられたくないから勉強するだけでしょ?雪は大人なんて怖くないからやる理由が無いのよ。」
綺羅世はどうにも納得していない顔。
「勉強ってそれだけじゃないと思うけどなー………楽しいのだってあるじゃん。保体なんか雪ちゃん好みの内容じゃない?」
「はあ?何でよ。全然興味無いわ。大体、保体の教科書って嘘ばっか書いてあるし。」
「え?どういうことー?」
雪は机から教科書を出し、ページをぺらぺらめくった。
「ほらここ!こんなこと書いてある。『精子は睾丸の中の精巣でつくられます』。これはおかしいわ、現実には睾丸なんていう器官は存在しないのよ!図解だと陰茎のすぐ下に陰嚢っていう袋があってその中に睾丸が二つ入ってることになってるけど、そんなの実在しない!」
この学園に何人かいるふたなり少女たちは、いずれも玉が無い。
「睾丸なんてただの都市伝説よ!そんなの無くても精液出るしね!教科書に書いてあることなんてしょせんその程度のレベルよ!」

「ていうか、露骨にサボりまくってたらそろそろ処分が来ないかなあ?」
綺羅世の心配をよそに机にもたれて目を閉じる雪。
「だぁーいじょうぶよ、ほとんどの先生は雪のお客さんだかんねー。バイト優先に大賛成するわよ!」
と、いつの間にかすぐそばに人が立っていた。
「わたしはあなたのお客さんになったことはありませんけど。」
顔を上げた雪の前には、すらりと姿勢よく立つ巨乳美女。とても優しげな柔和な面立ちだが、今はしかめっ面になっている。
「あ、小鷺先生。」
「バイトの為に授業を真面目に受けないなんて、わたしは認めません。居眠りはやめないと許しませんよ。」
きつい口調で言ったが、雪には完全に聞き流される。
「ねー、何で先生は雪のこと買ってくれないのー?」
「何言ってるんですか、わたしは生徒がそういうバイトをするのは絶対反対なんです!間違ってもあなたのショーなんて見ませんから!」
そう言ってから、小鷺先生は少し後悔した顔になった。
「いえ、あなたみたいにそのバイトをしてる子達にはそれぞれ事情があるのも知ってます。あなた達を否定する訳じゃないんです。でも!」
小鷺先生の声に熱がこもった。
「あなたくらいの年頃なら、好きな子とつきあいたくなったりするでしょう?そんな時、そんなバイトしてたら………本当に大切な人を悲しませてしまうんじゃないですか?」
雪はポケーッとした顔。
「先生、ドラマの影響受けてる?」
「少しは真剣に考えて!あなたには好きな人はいないの?!」
雪は、じーっと小鷺先生を見た。
「な、何ですか?」
雪は表情を変えずにさらにじーっと見つめる。
「ど、どうしたんですか。」
ただただ見つめる雪。
「何か言って下さい!どうしたの!」
それでやっと雪は口を開いたが。
「ねー、先生もオナニーのバイトやったらー?」
「はい?!?何言っちゃってんのよ!!!」
小鷺先生は大いに赤面して取り乱した。唾を飛ばすほどわめいていた。
「いいじゃん、稼げるよー。」
「やるわけないでしょう!だいたい、わたしがそんなことやっても誰もお金払いませんから!」
「えっ、雪なら貯金全部出しても買うけどなあ。きひひ………」

放課後、教室を出た雪と綺羅世。
「雪ちゃんはバイト?」
「今日はその前に部活行くわ。週一回は部室行くの義務だから。ま、行ってすぐ出てくるけど。何か部活やってないといけない校則ほんとウザイわね。」
「雪ちゃんも部活入ってたんだね。何部?雪ちゃんならバドミントン部とか似合いそう。」
「そんなのやらないわよ。スポーツなんか将来の役に立たないし。」
「えー。雪ちゃん運動得意なのにー。」
「でもスポーツ選手目指せる程じゃないし。文化部で大人になってから活かせそうな部を選んだわ。」
「何部?」
「色々迷ったけど……宝石鑑定部で高級品を見る目を磨こうか、とか。サバイバル生活部で、お金無くても生きてける力を養おうか、とか…………」
ふと、雪はしばし黙った。
「………ま、結局は適当に選んだわ。」
「何部にしたの?」
「内緒。」
「何でー!」
「何でもいいでしょ。さっさと帰りなさいよ。」
廊下の向こうで、こちらに気づいた小鷺先生が声を張り上げた。
「雪さーん、たまにはちゃんと来なさいよー!花嫁修業部ー!」
綺羅世はあれこれ聞きたくなったが、猛烈に冷たい空気を隣の人から浴びせられて沈黙するしかなかった。

購買に寄ってからの帰路、綺羅世は吐息に呼び止められた。
「綺羅世さん、雪がどこにいるか知らない?」
「雪なら部活に行ってるよ。」
「小鷺先生は部室に来て一分で出ていったって………」
吐息は落ち着きの無い様子である。
「なんかあったの?」
「雪に予約入れてた先輩に聞かれたの。時間になっても雪が来なくて電話も出ないって。わたしも、朝のスカートの上からのごしごしの続きをお願いしたいのに既読付かないし………」
その頃、雪は空き教室にいた。彼女の手を強く引いて連れてきたのは、前日に雪がボッタクリをした先輩だった。
「だからぁ、他の先輩の予約入ってるから今はダメなんですけどー!」
「お金ならあるの!お金ならあるから!早く脱いで!早く!」
先輩は息が荒く、随分と取り乱した態度になっている。元来はおっとりした人なのに、今は焦っていて気が短く、強引である。
「脱ぐの!早くして!パンツだけじゃないよ、全部脱いで!裸になるの!」
「えぇ?それはオプションでかなり高いですよ?払えますかぁ?先輩、どれくらいお金持ってます?だいたい、バイトもしてないのにどうやってお金用意したんですか?ほんとに持ってます?見せて下さいよ。」
いきなり、先輩が狂暴な形相になった。
「言うこと聞け!」
雪の目の前に包丁が突き付けられた。

雪は、切っ先から目を反らして微笑する。
「先輩何やってんの?それしまってよ、包丁なんかで雪はビビんないから。」
先輩は、気が狂ったように笑った。
「アハハハハハハ!ふるえてるじゃない!あなたでも怖がることあるのねえ!」
「ハ?雪に向かって生意気言わないでよ。」
「強がりはやめなさい、ほらほらぁ!」
先輩は雪の前髪を引っ張って、包丁を頬に触れさせた。雪はビクリとして、怯えを露にした。
雪は制服を脱ぎ、下着も脱いだ。ソックスと上履き以外は一糸まとわぬ姿。悔しさに涙が滲む。
先輩はますます狂ったような笑顔になり、勝ち誇った。
「さあ、わたしの言う通りにオナニーするのよ。いつもより恥ずかしいことたっぷりさせてあげるわ!」
「………命令なんて聞かないわ。あなた程度の人の命令なんか。」
小声だが、はっきりと拒否を表明した雪。すると、突然先輩は泣きながら叫んだ。
「どうして!どうしてわたしのことを認めてくれないの!わたしにはあなたしかいないのに!お願いを聞いてよ!聞いてくれないと本当に刺すわ!あなたを刺し殺して、わたしも死ぬの。」

「あー、いっけないんだぁー。」
不意に先輩の背後から可愛らしい声がした。ギョッとして振り向いた先輩。
「あ、あなたは!吐息さん!?……だけじゃなく、オナニーアイドルが全員集合してるぅぅぅ!!?!」
そこには、吐息を先頭に十人ばかり、とびきりの美少女達が立っていた。いずれもオナニーショーのバイトをしていて学園内の人気を集めている女の子ばかりだった。
吐息は清純スマイルでくすくす笑っている。
「だめですよお、オナニーアイドルに乱暴なんかしちゃぁ。特に雪みたく熱烈なファンがいるトップオナニースターにはいっぱいストーカーがいるんですからぁ、こそこそ連れ込んでもバレちゃうんですよ。さ、危ない物は捨てて下さい。もう先輩はおしまいです。」
先輩は気圧されて、発狂したような勢いはもう失っていた。しかし、包丁は手離さない。
「い、嫌よ!わたしは雪さんと心中するの!どうせ、こんなルール違反したわたしはブラックリスト入りして、今後はいくらお金出しても雪さんを買えないし、他の子にも営業拒否されるんでしょう!?そんなの耐えられないわ!今さらオナニー見れない生活には戻れない!」
「先輩、聞いて。」
雪が、クールに声をかけた。いそいそと制服を着込んでいる雪は、いつものふてぶてしい無表情を取り戻している。そこに、相手を見下す笑みが浮かんだ。
「包丁捨ててさ、土下座してよ。そしたら今日のこと忘れてあげる。お金ある時には、ショーもやってあげるよ。そうしてくれなかったら、ブラックリストどころじゃ済まないよ?」
吐息や、他のオナニーアイドル達が、先輩に歩み寄った。美しい妖精のような下級生達に取り囲まれ、先輩は何故か恐怖に襲われる。少女達は微笑んだまま。だが、彼女達の顔は天使の笑顔から、悪魔のそれに変わっていた。
吐息がささやく。
「高等部でたまに、急に学園やめちゃう人、いますよね。仲のいい友達にも挨拶もしないで、その後も連絡つかなくて、どこに行ったかわかんない。そういう人、どこに居ると思います?理事長先生のお部屋の奥なんです。閉じ込められて死ぬまでおもちゃにされるんです。」
雪も、くすくす笑いながら優しく語る。
「理事長先生って、若くて綺麗なのに誰ともつきあってないでしょう?リョナ趣味だからなの。血を見るのが好きすぎて彼女作れないの。だからおもちゃが要るのよね。でも理事長先生に新しいおもちゃをあげても、すぐ壊しちゃって大変なの。雪達が狙われたらどうしようって、いつも心配してるのよね。」

「そんなのただのつくり話でしょ?!」
叫ぶ先輩。だが、その声は弱々しく涙混じりになっている。
「信じないならそれでいいわ。理事長先生がご機嫌になって、雪達しばらく安心して暮らせる。包丁捨ててくれたら雪は常連のお客さんが一人いなくならなくて済む。どっちでもいいんだけどね、雪は。先輩はどう?雪の言うこと聞けば、またオナニー見れるよ?」
先輩は震える声で聞いた。
「本当にまた売ってくれる?わたしに包丁捨てさせる為の嘘じゃないの?ほんとにブラックリストに載せない?」
「雪を信じるかどうかの問題ね。疑われたら雪、先輩のこと本気で嫌いになっちゃうなー。」
先輩はがっくりとうなだれて、そのまま床に両手をついて土下座した。

窓から夕陽が廊下に射し込んでいる。
「あっ、雪ちゃん!」
綺羅世が声を上げた。彼女は小鷺先生と一緒に雪を探していたところだった。
吐息を伴って歩いてきた雪を見て、先生は安心し
て喜んだ。
「どこに行っていたんですか。心配したのよ。」
「えへへ、クレーム処理に手間取っちゃって。先輩、誤解が解けてよかったです。またの御利用お待ちしてますねー。あ、さっきのことは誰にも内緒ですよ、わかってますよねっ。」
雪の横にいた高等部生が、こくこくうなずき、作り笑いのようなひきつった笑顔を浮かべて去っていった。
雪は楽しげにうんざりした顔を作る。
「予約の時間に遅れたお客さんにも謝んなきゃいけないわ。ダルっ。なんかサービスすれば許してくれるかなー。」
吐息が雪の肩を揺すった。
「わたしが特別に無料でショーに参加してあげるわ。二人でオナニーすればお客さん幸福絶頂で追加オプション売れまくりだよ。ねえ、だから朝みたいに雪の手でにぎにぎして……。そうだ、二人でしごきあいっこしましょ?」
「嫌。何であんたみたいなガキに触らせないといけないわけ?萎えちゃうから。要らないから帰って。あ、先生、綺羅世、またねー。吐息もさよなら。」
「待って。ねえ雪、わたしのおてて、気持ちいいよ!あなただってほんとはしごいて欲しいんでしょぉ?無理しちゃってぇ。」
「何勘違いしてんの?フル勃起中でも吐息に握られたりしたらフニャっちゃうわ。愛液も止まるわよ。」
賑やかに遠ざかる雪と吐息の後ろ姿を見つめる小鷺先生。
「あの子達……あんなおかしなバイトしてるけれど…………それぞれが問題を抱えて、助け合って必死に生きてるのね…………。」
「えぇ?感動するとこ?胡散臭さしか無いんだけど……。」
綺羅世は疑問を禁じ得なかった。

おしまい

ふたなりオラオラ貧乏娘のバイトデイズ

ふたなりオラオラ貧乏娘のバイトデイズ

四コママンガ風の内容です。気軽に読めますので、ちょっと覗いていって頂けたらありがたいです。一応、十八禁。ソフトエロですが。

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