犬歯

犬歯

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隣で眠るおおきな 大きな犬を絞め殺したい


湯水のごとく湧き上がる憎悪は
恐らく おそらくは

この犬歯がわるさをしたのだろう


灯台下暗し 人は往々にして
すぐ近くの殺意に気を配らない

おれもここにいるよ



頭が働かないのは
恐らく 恐らくは

あの白いらむねが作用したのだろう


きらきらが等級を増せば増すほどに

きみは目を灼くんだよ




「目、覚めた? おはよう」




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犬歯

回顧録

犬歯

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-09-08

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